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ニコニコ動画研究──その死角と展望【1】

公式非公式、会見生中継からネタ企画まで、重要メディアに躍進したウェブメディアの"正体"

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──オタクの人が編集した違法動画がいっぱいアップされているところ......。ニコニコ動画に対して、いまだにただそれだけの認識しか持っていない人はさすがにいないかもしれないが、2009年に衆院選速報番組を製作して以降、ニコニコ動画は急速にメディアとしての規模を拡大し、そしてその深みも増している。そんなニコ動の"古き良き"素人動画から最新の公式生コンテンツまで縦横に紹介しつつ、その課題と行方を追う!!

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(写真/田中まこと)

 初音ミクが激しく歌い踊りまっているかと思えば、政治家が登場してなぜか囲碁対局している。そうかと思えば、ジャーナリストや文化人が議論を白熱させ、その裏では、なんだかわからない素人たちが踊っている。画面に映る映像の上には、テロップのように無数のコメントが流れ、時には映像が見えなくなるほどの書き込みがある......。

 株式会社ドワンゴの関連企業で、あの2ちゃんねる元管理人ひろゆき氏も取締役に名を連ねる株式会社ニワンゴによって運営され、2006年にサービス開始。その後着実にサービスを拡大させ、今や、会員数2000万人、有料のプレミアム会員数も100万人を超えた「ニコニコ動画」(以下、ニコ動)で見ることができる数々の番組や動画は、まさしくカオスだ。サブカルチャーから政治、社会問題など、ありとあらゆるものを取り込み、ユーザーがそれを眺め、コメントを書き込んでいく姿は、かつては2ちゃんねるがそうであったように、今や日本的なインターネット世界のひとつの縮図となっている。

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フェイスブック・ブームの虚実【6】

あの高城剛が大予言!「フェイスブックはもう古い!! 20年後に変わるウェブ社会の未来像」

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高城剛氏の著書『ヤバいぜっ!
デジタル日本』

──ここまで、現在のフェイスブックの異常な盛り上がり方の理由や、今後の日本での広がり方の可能性を考察してきたが、最後に、「フェイスブックどころか、インターネット自体が2020年代後半にはダメになる」という、この方のハイパーな未来予測を記しておこう。

 その内実には疑問符がつくにせよ、フェイスブックブームに沸き立つ日本で、ミクシィやモバゲー、GREEといった国内SNS企業も海外進出を図っている(当特集【5】参照)。

 この状況をどう見るか、高城剛氏に聞いてみた。

年若い読者であれば知らないかもしれないが、高城氏が90年代前半に立ち上げた「フランキー・オンライン」(パソコン通信の一種。今でいうオンラインゲームやネットショッピング、音楽ダウンロードなどの機能を持っていた)は、ソーシャルメディアの先駆けともいえるサービスだったのだ。

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フェイスブック・ブームの虚実【5】

濱野智史と宇野常寛が提言──「フェイスブックは モバゲー、グリーと大差はない!?」

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 フェイスブック上陸に伴い、ビジネス誌でもてはやされているZynga。ソーシャルゲーム業界の風雲児である同社が、日本のウェブに及ぼす影響とは? 今月の「CYZO×PLANETS カルチャー時評」の映画『ソーシャル・ネットワーク』座談会(参照)にも参加している情報環境研究者・濱野智史氏と批評家・宇野常寛氏に話を聞いた。

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Zyngaがフェイスブックで提供しているソーシャルゲー
ム『ファームヴィル』(写真左)と、ミクシィで圧倒的な
人気を誇る『サンシャイン牧場』(写真右)。どちらもやる
ことは畑の開墾や牧畜などで、ほとんど変わりはない。

 日本のメディアがフェイスブックを特集する際に、頻繁に取り上げられるのが、SAP(ソーシャル・アプリ・プロバイダ)のZynga(ジンガ)だ。同社がフェイスブックに提供しているアプリのユーザーは3億人を超えるともいわれ、2010年8月には日本のIT関連会社ウノウを買収し、本格的に日本市場への参入を果たした。その規模から同社は、ビジネス誌において日本のソーシャルゲーム市場をおびやかす存在として取り沙汰されている。一方で、日本の「モバゲーTOWN(以下、モバゲー)」運営元のDeNAは同年10月にアメリカのソーシャルゲーム会社を買収、GREEも今年1月には米国子会社設立計画を発表するなど、国内のSNS企業も世界戦略を打ち出し始めている。はたしてZyngaの日本参入は、日本のウェブ環境にどのような影響をもたらすのか? 情報環境研究者の濱野智史氏は次のように話す。

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フェイスブック・ブームの虚実【4】

「オレオレ詐欺」「痴情のもつれ」「政府転覆」......実名登録の安全性と危険性"フェイスブック事件簿"

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──人の集まるところトラブルあり、5億人もユーザーを抱えていればもめ事が起きるのも当たり前。ここでは、ソーシャルメディアの活用法について講演などを通じて分析/研究を行うアジャイルメディア・ネットワーク社の徳力基彦氏をお呼びし、フェイスブックならではの事件例を解説。

道ならぬ恋も見つかりやすく......

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[フェイスブック離婚]

 海外ではフェイスブックが発端の恋愛トラブルは数多い。 アメリカ婚姻関連弁護士学会(AAML)が明らかにした最新調査によると、離婚カップルの実に5分の1がフェイスブックを離婚原因として挙げているそうだ。「フェイスブックは基本的にサービス内の活動がなんでも友人に通知される仕組みのため、元来水面下で起こっていたはずの不倫や後ろ暗い関係のやりとりが、ツイッター以上に見つかりやすくなった部分はあると思います」(徳力氏)。昔の恋人の名前を検索してしまって焼けぼっくいに火をつけるのは自由だが、今のパートナーに発見されて延焼する可能性に思い至れないのは、恋する人間の悲しいサガなのか。


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フェイスブック・ブームの虚実【3】

言い出しっぺは使いこなせてる?フェイスブック特集雑誌4誌のfacebookページ拝見

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──フェイスブック特集を大々的に組んだ「週刊東洋経済」「エコノミスト」「週刊ダイヤモンド」「GQ Japan」の4誌。では、果たしてこれらの雑誌編集部はfacebookを使いこなせているのか!?「facebookページ」を舞台に、4誌の言行一致度をこっそりチェック!

※「facebookページ」:個人アカウントとは別に、企業やブランドの名前で作るコミュニティ的機能を持つページ。ビジネス方面で注目されている。(各ページ「いいね!」の人数は3月5日時点)

「いいね!」3681人は圧倒的強さ

[週刊ダイヤモンド] 3681人
(ダイヤモンド社/「2011年フェイスブックの旅」38P)

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 更新される内容は「エコノミスト」や「週刊東洋経済」のページと大差ないように思えるが、「いいね!」の数はケタ違い。1月の大特集記事が奏功しているとみえる。よく作り込まれているとは言い難いが、あっさり飛びついた層をばっちり取り込んだようだ。

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フェイスブック・ブームの虚実【2】

「チャンスを逃すな!」──フェイスブック記事比較とブームを演出する雑誌メディア加熱ぶり

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本稿で紹介した雑誌以外にも、映画『ソ
ーシャルネットワーク』に関する記事の
一環としてサービス自体を取り上げる
映画誌も散見された。

──今般のフェイスブックに関する"盛り上がり感"の演出要素として欠かせないのは、2011年に入ってからの雑誌各誌による特集記事だろう。ここでは、その中でも目立った記事を選び出し、雑誌メディアがフェイスブックをどう受け止めているかを考察したい。

 ついに電通まで介入し、いよいよ"猫も杓子もフェイスブック"となっているこの状況を、「目ざとさが命」の雑誌各誌が放っておくわけがない。日本における新しいネットサービスの広がり方は、まず一部の、アーリーアダプター層(前ページ参照)が取り上げる。そして長短はあるが潜伏期間を置いて、ウェブや口コミで話題が拡散。

 その後、一般ユーザー層にまで認知が広がり、初期の狭い市場から大きなパイを持った市場との間に横たわる「キャズム」という深い溝を超えた一大ムーブメントへ発展する──という順序だといわれている。
 
 映画『ソーシャル・ネットワーク』公開の後押しもあり、フェイスブックはおそらく、今がちょうどそのキャズムを超えるか否かが問われている時期だろう。

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フェイスブック・ブームの虚実【1】

電通もついに便乗! フェイスブックに群がるメディア狂想曲と懸念される"セカンドライフ化"

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──2010年秋以降、急激にその名をメディアで目にするようになったアメリカ発のSNS・フェイスブック。映画『ソーシャル・ネットワーク』が1月に公開されたことも追い風になり、ネットはもちろん、雑誌に新聞に、あちこちで特集が組まれ、メディアは大騒ぎだ。だが今、本当にフェイスブックはそんなに日本で人気だろうか? アカウントはあれど、使いこなせていない人も多いのではないか? 岐路に立つフェイスブックブームを検証する。

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 ミクシィにツイッター、あるいはモバゲー、グリーと、すでに十分な数のSNSが定着している日本で、にわかに世界最大のSNSたるフェイスブックが存在感を増している。既存のSNSとは使われ方も利用ルールも異なる同サービスが注目され始めた裏には、やはり仕掛けがあった?

 全世界でユーザー数が5億人を突破し、「インド、中国に次ぐ人口」を形成しているといわれる世界最大のソーシャルネットワークサービス(以下、SNS)「フェイスブック」が、やにわに注目されている。

 日本では2010年末ごろからメディアで頻繁に取り上げられるようになり、11年1月に同サービスの創設秘話を描いた映画『ソーシャル・ネットワーク』が公開されたことで、ITへの興味が高くない一般層への知名度も急激に高まっている。

「フェイスブックはグーグルを超えた!"検索"はもう古い!」と語るIT評論家が登場し、ビジネス界でも企業の「フェイスブック活用術」が慌ただしく研究され始めている。

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超刺激的! タブー破りのDVD【7】

映画監督・小沼雄一が語る「タブーなき官能的表現の極意は『脱げばいいってもんじゃない』」

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『nude』 より/ DVD&ブルーレイ好評発売中/発
売・販売:ハピネット(C) 2010「nude」製作委員会

 官能表現って、すごく難しいと感じます。もちろん男と女の話は好きだし、サービスシーンとして意識をするところではあるんですが、単純に裸を見せればいいというものでもない。裸が出てくれば、当然男は興奮するでしょうけど、そうすると映画のストーリーからお客さんの目が離れてしまうんですよね。あくまで物語の一部としてどう取り扱うのかに、いつも苦心しています。

 ここの最近、『nude』や『童貞放浪記』など、主演の女優が脱ぐことで話題になった作品を撮る機会を頂きまして。『nude』は、引退された元AV女優・みひろさんの自伝的作品ですが、これも「脱げば男の人が喜ぶ」ということを知った少女が、その欲望とどう付き合いながら自分の夢を叶えていくのか、という青春物語なんです。

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超刺激的! タブー破りのDVD【6】

アニメライター・多根清史「猟奇殺人からセックスまで──視聴者を裏切り続けるアニメ」

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『School Days』では毎回、昼ドラのような修羅場が展
開される。(C)STACK・School Days製作委員会 2007

 僕はアニメ雑誌「オトナアニメ」(洋泉社)でスーパーバイザーを務めていますが、"タブー破り"のアニメと言われて、まず思い浮かべるのは『学園都市ヴァラノワール』【1】ですね。この作品は原作が好セールスを記録したゲームソフトで、その関連商品として制作されたものです。内容としては魔法学園を舞台としたありがちなファンタジーバトルアニメ。ですが、この作品ははっきりいってもはやアニメじゃない。だってまず絵が動いていないんですから(笑)。紙芝居のように一枚の絵だけで話が進んでいったり、オープニング映像を原作のゲームからそのまま流用していたりと、とにかく手抜きがヒドい。作品としての最低ラインにも達していないのに、それを5000円近い値段で販売したというファンを裏切る行為は、"タブー破り"だといえるでしょう。

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超刺激的! タブー破りのDVD【5】

経済ジャーナリスト・須田慎一郎が語る「英・米・日の経済問題を見据えた構造的課題を浮き彫りにする3本」

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ハイブランドとファッションメディアとの癒着にも言及し
た『プラダを着た悪魔』。主人公を秘書に採用した編集
長は、実在のモデルがいるというが......。(C) 2010 T
wentieth Century Fox Home Entertainment LLC.
All Rights Reserved.

 金融市場の人間模様と暗部を描いた映画『ウォール・ストリート』が話題となっていますが、経済問題を扱った"タブーに挑んだ映画"は意外に多い。まず紹介したいのは、イギリスの社会構造と経済に焦点を当てた『キンキーブーツ』【1】。主人公は父親の急死で家業の老舗靴メーカーを継いだひとりの青年で、同社は靴作りの聖地といわれるイギリスのノーザンプトンにあり、オーダーメイドを守り続ける旧態依然の経営体制。かたくなな職人気質がアメリカの廉価な既製靴に押され、経営状況が悪化。苦境を打開すべく奔走する主人公は、ひょんなことからゲイのショーダンサー、いわゆるドラァグクイーンたちと知り合うことに。主人公はドラァグクイーンの派手なブーツの耐久性や履き心地に問題があることを知り、経営再建の商品として彼女(?)たちのブーツを作ろうとする話です。

 タイトルの"キンキー"とは、彼らマイノリティーを揶揄するスラングですが、現在のイギリスでは、経営不振に陥っている老舗メーカーは枚挙にいとまがありません。伝統と格式にしがみつき、社会的な地位に甘んじている経営体質では、今のマーケットメカニズムについていけない。そこから思い切った転換が求められるわけですが、同作では保守的なイギリスで差別されているドラァグクイーンのブーツを老舗メーカーが作るという内容で、ラディカルな転換例を突きつけました。作中で「ポルノグッズだ」と言われている彼女たちのブーツに、貴族などの上流階級が愛する老舗メーカーが救いを求めるというのは、業界のタブーとは言わないまでも、根強い階級社会へのアンチテーゼと映るはずです。

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連載
“超”現代哲学講座
哲学者・萱野稔人の
“超”現代哲学講座
『国家、権力、そして暴力とは何か?知的実践による解説。』

おなじみのアフロ君がくさす、毎月の気になるニュース。
花くまゆうさくの
カストリ漫報
『おなじみのアフロ君がくさす、毎月の気になるニュース。』

宇野常寛の批評
宇野常寛の
批評のブルーオーシャン
『さらば、既得権益はびこるレッドオーシャン化した批評界!』


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