社会

日本で初めて浮き彫りになった屠場の真実

本橋成一×上原善広 部落産業・屠場の写真集は根深いタブーを超えたのか?

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 2011年3月、写真家・本橋成一氏による写真集『屠場〈とば〉』(平凡社)が出版された。1968年、九州や北海道の炭鉱で働く人々を追った写真集『炭鉱〈ヤマ〉』(現代書館)で高い評価を得て、その後も市井の人々に惹かれるままシャッターを押し続けた本橋氏。そんな彼が、意欲的に取り組んだ被写体が"屠場"だった。いわれなき職業差別と身分差別に抗いながら、大阪・松原の屠場で働く人々に迫った最新作について、被差別部落出身のジャーナリスト・上原善広氏が話を聞いた。

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上原善広氏。

上原善広(以下、上原) 『屠場』を手に取って、最初は文章を読まずに写真だけ見たんです。すると、屠場の中には見覚えのあるタイル張りの床、外観には僕が住んでいた団地が写っている。幼少期を過ごした大阪府松原市の「旧屠場」だと、すぐにわかりました。文章を読むと80年代、松原市営時代の旧屠場から、現在の(南大阪食肉市場株式会社に再編された)新しい屠場まで、約30年間にわたる写真が収められている。これはすごいと思いました。

 それに、タイトルの読ませ方が"とば"なのがいいですね。一般的には"とじょう"と呼ぶことが多いけれど、地元ではこう呼んでいた。毎朝、牛や豚の悲鳴が聞こえてきたことを思い出しました。

本橋成一(以下、本橋) タイトルをつけるときに、屠場のみんなに「"とじょう"にしようと思う」と言ったら、「ちゃんと"とば"と呼んでくれよ」と返されたんです(笑)。

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マスコミ不況、ここに極まる!

日経"スクープ逃し"の裏に新聞業界の深刻な人材流出が!?

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『日経新聞の黒い霧』

「こんなネタを抜けないようでは、日経の題字を返上したほうがいいんじゃないか」

 2月4日付の日本経済新聞朝刊を見た同社デスクが嘆いた。その前日に公式発表された、国内鉄鋼最大手の新日本製鐵と、同3位の住友金属工業による合併検討のニュースのことだ。このニュースを「日経がスクープできなかった」ことが、業界内で話題になっている。日経といえば、企業ニュースではスクープを取ることを至上命題としており、再編がささやかれていた鉄鋼業界の担当記者も、他社が1人のところを日経は2〜3人投入していたという。しかしこのニュースはどこからもスクープされず、2社からの会見をもって発表、という流れとなったのだ。

「担当記者は、デスクからかなり叱責されたらしい。それにしても、最近の日経は人材の劣化が進んでいて、頭数は揃えても、ろくにスクープも取れなくなっているね」(日経中堅記者)


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"マンションの買い時"の本音と建前

住宅ローンは銀行が仕込む罠!? 自宅購入に潜む恐怖のリスク

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石川貴康氏(左下)。

「モデルルーム見学1カ月待ち」

「即日完売」......住宅市場が再び動きだしている。1月の新設住宅着工戸数も前年同月比2・7%増の6万6709戸と8カ月連続の増加(国土交通省・住宅着工統計)を示し、不動産市況は回復し始めたと見る不動産関係者が多い。住宅金融支援機構の長期固定金利住宅ローン「フラット35S」の金利幅の拡大などという政府の住宅購入支援策もあって、20〜30代が夢のマイホーム購入の検討に動き出している。

 しかし、そんなイケイケムードにこそ、落とし穴は潜むもの。案の定、そんな空気にカウンターをかます専門家がいた。近著『サラリーマンは自宅を買うな』(東洋経済新報社)で、マイホーム購入に警鐘を鳴らす不動産投資家の石川貴康氏だ。石川氏は、副業で8棟65戸の不動産投資物件を所有しながら、日本の土地神話に潜むリスクを指摘している。「人生最大の買い物」が、サラリーマンを不幸にするというのだ──。

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一番リアルなヤクザ映画は『アウトレイジ』

ヤクザに密着した著者が語るヤクザ記事のタブーと山口組

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高山若頭連行の現場に駆けつけた鈴木
氏と著作

 本誌3月号で触れている通り、現在、暴力団に対する当局の締め付けは厳しさを増すばかりだ。国内最大の暴力団組織・山口組をめぐっては、10年11月にナンバー2の高山清司若頭が、そして翌月にはナンバー3の入江禎総本部長が逮捕(現在は保釈)され、現在服役中の六代目司忍組長と合わせると、事実上、トップ3が不在という事態に。

 これらは多くのメディアで報じられたが、高山若頭の逮捕情報をどこよりも早くつかんでいた(※結局翌朝の連行になって多くのメディアが取材に来た)ライターが鈴木智彦氏だ。

 ヤクザ専門雑誌「実話時代BULL」 (メディアボーイ)の編集長を務め、新宿のヤクザマンションに居を構えた彼が、これまでのヤクザ取材の裏側を綴った書籍『潜入ルポ ヤクザの修羅場』(文春新書)を上梓し、それが日経新聞の売り上げランキングに食い込むほど売れている。そこで同氏に"怖くて誰も書けなかった暴力団の虚像と実像"、そして暴力団とメディアとのつながりについて聞いた。

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民主党崩壊カウントダウン!

"死に体" 菅内閣が自爆テロ! アングラ献金暴露で前原潰し

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自身の突破口は見いだせず?

 ますます混迷を深める政局について、本誌は3月号でこう指摘しておいた。

「菅首相が小沢切りに必死だからね。強制起訴をきっかけに離党に向けた動きを加速させているだけに、小沢グループは猛反発。側近のひとり、松木謙公・農水政務官は抗議の辞職も辞さない構えといわれ、弾みで政権の一角が崩れ、一気に小沢グループの大量離反→民主党分裂というシナリオも想定しないといけなくなってきた」

 この予測通り、小沢一郎氏の「党員資格停止」は猛烈な反発を呼び、民主党1年・2年生議員16人が会派離脱に踏み切ったのに続き、閣内に取り込んだはずの松木氏も政務官を辞任。だが、小沢グループの反乱劇はこれにとどまるはずがないという。官邸担当記者が証言する。

「小沢グループの中核『一新会』のメンバーと名古屋市の河村たかし市長の地域政党『減税日本』が一緒になった、新党立ち上げの動きがあるんです。菅首相はもはや政権を掌握できていなくて、このままでは党内分裂は必至です」

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記者クラブ反対急先鋒が新たな"クラブ"を!?

自由報道協会の"ダダ漏れ"に記者クラブメディアは不満爆発?

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──記者クラブの開放」をスローガンに、2011年1月に設立された「自由報道協会」(仮称)という組織に注目が集まっている。ジャーナリストの上杉隆氏らが中心になって立ち上げた「フリーランス・雑誌・ネットメディア有志の会」で、3月上旬現在、本格稼働に向けて設立準備会が動いているが、協会の設立趣意書には次のように記されている。

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毎回、ニコニコ動画で生放送されている小沢一郎氏
の会見。

「本来、政府の公的な記者会見への参加は一部メディアに限定されるべきものではなく、取材・報道を目的としたすべてのジャーナリスト等に幅広く開放されるべきものである。報道の多様性と自由な取材機会を保障することは、民主主義国家であれば当然に認められる権利である」

 言わずもがな、この動きの背景にあるのが、「記者クラブ」という世界に類を見ない日本特有の制度の存在である。日本の公的機関の記者会見は、原則としてテレビ局や新聞社など一部のマスメディアで組織される「記者クラブ」の主催で行われる。このため、記者クラブに所属しない雑誌媒体やフリー記者、ネットメディアなどは、会見に参加できないことが多い。この硬直化した制度が、取材者と被取材者の癒着構造を生み、両者の利害にかなった恣意的な報道を生む元凶となってきたという指摘は多い。

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東京都のマンガ規制の裏に当局の思惑

警察のネット利権を拡大せよ!? 都条例改正の真の狙いとは

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「非実在青少年」問題で話題となり、東京都議会で2010年6月にいったん否決された東京都青少年健全育成条例の改正案が、一部修正されて同年12月に可決された。マンガ業界や愛好家などを中心に「表現の自由の侵害」「不健全図書指定の判断基準があいまい」といった批判が噴出しているが(改正の内容については別表参照)、6月の採決の際には反対した民主党都議会議員が今回は賛成に回ったことなどもあり、いとも"あっさり"と可決されたという印象だ。

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いまだくすぶり続ける同問題は一体どう
なる!?

 しかし、この件に関して数々の提言を行っている桐蔭横浜大学教授の河合幹雄氏によると、条例改正の背景には、単なる「マンガ表現の規制強化」にとどまらない複雑な事情や、関連各界のさまざまな思惑があるという。改正案成立のウラ側や今後の展開などについて話を聞いた。

──河合先生は、改正をめぐる一連の経緯や国民の反応をどうご覧になりましたか?

河合幹雄(以下、)今回の改正は、 「マンガ表現の規制強化」の問題ととらえられていますが、実はより広い視点が必要です。改正ポイントは大きく分けて3点あり、1点目は、確かにメディアで盛んに報じられた通り、「不健全な図書類等の販売等の規制」についてです。しかし、2つ目の「児童ポルノ及び青少年を性欲の対象として扱う図書類等に係る責務」と3つ目の「インターネット利用環境の整備」についてはほとんど報じられず、注目されていません。ですが私は、むしろ2、3点目の改正点こそ、今回の条例改正の"本命"だったと見ています。

──どういうことでしょうか?

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徳川のタブーを破った男が放つ禁断の書

徳川宗家19代目が驚愕の警告! 倒幕・敗戦に続き「日本破綻」!!

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徳川家広氏。(写真/山本宏樹)

 世界で突出する累積債務残高(国・地方を合わせて1042兆円・2010年9月末現在)を前に、格付け機関は日本国債の格下げを発表した。やがて日本は財政危機に陥るのではないか──そんな状況を踏まえ、政治家、エコノミスト、経済学者の間でも、さまざま言説が飛び交っている。

 その中でも本誌が注目したいのが、「7〜8年後に、日本の国債は価値を失い、銀行は破綻して預金はパー、失業率は50%近くになる」などと国家崩壊ともいえる予測をする徳川家広氏だ。同氏はジョージ・ソロスのベストセラー『ソロスは警告する』(講談社)の翻訳家としても知られるが、実は、徳川家康から連綿と連なる徳川宗家19代目。最近は、社会・経済評論まで活動の幅を広げている異能の作家である。そんな徳川氏が、経済学の初歩の初歩から説き起こし、世界と日本の経済史を概観した上で、今後約10年間の日本経済のシナリオをまとめた『自分を守る経済学』(ちくま新 書)が話題になっている。氏によれば、遅くとも2020年には、日本は敗戦以来最悪の「廃墟経済」になるというのだ。世が世なら、「公方様」だった男が語る日本の未来とは──。

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石油同等の天然資源「水」

水戦争でもガラパゴス化!? 民主政権に欠如する世界戦略

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 水と安全はタダだと信じている日本人だが、地球を覆っている水のほとんどは海水。人類がそのまま利用できる淡水は、地球上の総水量のわずか0.01%にすぎない。

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浜田和幸氏の著書『中国最大
の弱点、それは水だ!』

 さらに、地球規模の産業発展や人口増大、森林破壊により、水需要の増大と水源の喪失は反比例し、いまや世界各国は水を、石油と同等の「天然資源」 と位置づけているのだ。

 水が資源なら取引市場で投機の対象となるのは必然。「水メジャー」と呼ばれるヴェオリア社やスエズ社(共に仏)などの巨大水企業は、IMFなどの融資でめぼしい水源地を押さえにかかる。昨今話題の中国資本による日本国内の森林買い漁りも、目的は水資源確保だと見る向きは多い。

 13億の民を抱える中国の水不足は相当深刻だ。2008年には中国がインドとの間に流れるブラマプトラ川をダムでせき止め、中国東北部へ引き込もうと計画していると米メディアが報じると、同河川で約1億人分の飲用水を賄っているインドは「無謀な計画」と激しく非難。「中印が水をめぐって軍事衝突の危機」と注目を集めた。こうした争いはアメリカ・カナダ間にも存在し、水利権をめぐる国際紛争は今後ますます増加しそうだ。

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小沢無罪の責任は誰が取るのか?

小沢強制起訴の裏で大わらわ──検察も指定弁護士も及び腰!?

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『検察vs.小沢一郎』。検察も手を焼いた小
沢一郎。指定弁護士は敗色濃厚?

 民主党の小沢一郎元代表が1月31日、ついに起訴された。

 検察審査会の議決による強制起訴が政治家に適用された初のケースで、捜査経験のない弁護士一筋の3人が検事役の指定弁護士となって法廷に臨み、いきなり政界の大物を裁くという前例のない試みがスタートする。

 小沢氏は起訴当日の記者会見で「検察の起訴とはまったく異質。無実であることはおのずと明らかになる」と法廷闘争に執念を見せたが、事は裁判の世界にとどまるレベルではなく、政局に絡むことは必至だ。本誌発売時には、大きな動きになっているかもしれない。

「菅直人首相が、小沢切りに必死だからね。強制起訴をきっかけに追放に向けた動きを加速させているだけに、小沢グループは猛反発。小沢の側近、松木謙公・農水政務官は抗議の辞職も辞さない構えといわれ、小沢グループの大量離反→民主党分裂→政権崩壊というシナリオも想定しないといけなくなってきた」(全国紙政治部記者)

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宇野常寛の
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『さらば、既得権益はびこるレッドオーシャン化した批評界!』


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