マル激 TALK ON DEMAND
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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第37回

破綻国家アフガンの真実と腐敗構造に消える日本の金【前編】

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 海外の安全保障政策において、現在、鳩山政権はある懸案事項を抱えている。インド洋給油活動に派遣されている、海上自衛隊の撤退問題だ。政権交代の選挙公約として掲げてきた同問題、周知の通り、アメリカからの強い要望があったものの今更撤回するわけにもいかず、その代案として掲げたものがアフガニスタンへの貢献策だ。だが、日本政府の代表としてアフガニスタンの武装解除に従事し、つい最近もアフガニスタンを訪問したばかりの伊勢﨑賢治氏は、「もはやアフガニスタンでは、ほとんどの民生支援は事実上不可能に近い状態になっている」という──。

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【今月のゲスト】
伊勢﨑賢治(東京外国語大学大学院教授)

神保 米軍普天間飛行場の県外移設や、インド洋に派遣している海上自衛隊の撤退を主張してきた民主党が政権の座に就きましたが、11月13日の米オバマ大統領の来日時には、鳩山政権はこれらの結論を先送りにしてしまいました。普天間の問題も重要ですが、海上自衛隊の撤退の代わりに日本が行うアフガニスタン支援をめぐる議論が尽くされていないことが気になります。

 今回は日本政府の代表としてアフガニスタンの武装解除に取り組んだ経験があり、先ごろも同国やパキスタンを訪問してきたという伊勢 賢治・東京外国語大学大学院教授を招き、アフガニスタンで日本がすべきことをテーマに議論を進めたいと思います。まずはアフガニスタンの現状について教えてください。

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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第36回

自民党が陥る"与党ボケ"と復活を目論む保守政策の真意【後編】

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自民党が復活する"10年後"を見据えた保守政策

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神保 河野さんが総裁選で打ち出した、「小さな政府」や「構造改革の徹底」という主張からは、党内にも、あるいは日本全体にも、小泉改革の負のイメージを受け取った人が多かったのではないかと思います。

 おっしゃるように小泉改革には、日本の経済活動の足かせとなっていたさまざまな規制やしがらみを取り去る功績があったのと同時に、これまで政府が面倒を見てきたセーフティネットを外したことで、社会から投げ出される人を大量に出てしまった、という負の面があり、それが小泉改革への批判や嫌悪の根底にあることは否定できません。河野さんは構造改革を訴える中で、小泉改革というものをどう位置づけていますか?

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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第36回

自民党が陥る"与党ボケ"と復活を目論む保守政策の真意【中編】

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EUの発展に学ぶ地方都市の再建

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神保 自民党はもともと農村にベースを置きつつ、日本の工業化を進め、経済成長の恩恵を公共事業等の形で農村に再配分することで、権力基盤を維持してきた政党だったと思います。しかしながら、高度成長が終わり、利益配分自体が困難になった今、長年通用した自民党の勝利の方程式は、もはや通用しないと指摘する人がいます。そうした中で、自民党はどうやって新たな権力基盤を作っていくべきだと、河野さんは考えていますか?

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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第36回

自民党が陥る"与党ボケ"と復活を目論む保守政策の真意【前編】

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----民主党政権が発足してから2カ月が経過した。大手メディアが発表する世論調査を鑑みる限り、鳩山内閣への支持率と期待値は相変わらず高いようだ。だが、「無駄遣い撲滅」を掲げていながらも、概算予算請求は95兆円と過去最高を記録、さらに目玉公約のひとつ「子ども手当」も財源が不明瞭。また、鳩山由紀夫首相本人にも献金問題などが噴出し、民主党の政策やイメージに暗雲が立ち込めている。こうした状況の中、野党となった自民党の幹部は"与党"を、そして保守政党の役割を、どう見るのだろうか?

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【今月のゲスト】
河野太郎(衆議院議員)

神保 今回は、9月の自民党総裁選に出馬し、自民党の健全な保守政党としての再生や世代交代、脱派閥を訴えながら、谷垣禎一さんに敗れた河野太郎さんをお招きし、「保守とは何か」、また「自民党再生に必要なこと」をテーマに議論を進めたいと思います。

 この番組では、かねてから「政権交代が起こった時に、民主党政権による"リベラルの暴走"を抑止する上でも、保守政党としての自民党が力のある健全な野党として再生する必要があるという話をしてきました。

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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第35回

「環境悪化と財政負担」という高速道路無料化批判のウソ(後編)

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地域活性化と雇用創出に留まらない無料化の利点

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宮台 このように、山さんの構想はまさに国土全体の改造計画で、全体性にかかわるガバナンスの発想に満ち満ちています。しかしながら、どうもその部分が一般に伝わっていないし、今のところ、民主党にはそれをアピールする能力がない。全体の改造の中の重要なひとコマとして、高速道路の無料化が存在するんだ、ということを理解してもらうのが重要ですが、 無料か有料か というところだけで不安を煽るキャンペーンが横行していることには辟易とします。そんな中で、今回の山さんのプレゼンテーションはブラボーですね。「国土の全体を設計するとはこういうことなんだ」ということを明確に示していただいて、本当にうれしく思います。

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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第35回

「環境悪化と財政負担」という高速道路無料化批判のウソ(中編)

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高速道路無料化=環境悪化という図式の誤解とは?

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神保 受益者負担の原則が崩れるだとか、料金収入が減った分、財政上の負担が増えるじゃないかという批判は、そもそも前提が間違っていると。

山崎 さらに、国土交通省の国会答弁によれば、高速道路を無料化することによって年間7兆8000億円の経済効果があるという。つまり、それだけGDPが増えるわけですから、1割程度と考えても7000〜8000億円は税収も増えます。もうひとつ、メディアで全く語られていないことを言えば、年間の高速道路建設費、維持費用を合わせると約9100億円。一方で、高速道路無料化で削減できるコストを考えてみると、一般道建設にかかる年間費用2兆円のうち、高速道路の利用率が低い地域の渋滞対策分、少なくとも約4分の1の4900億円はカットできる。

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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第35回

「環境悪化と財政負担」という高速道路無料化批判のウソ(前編)

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--―民主党政権の重要マニフェストのひとつに挙げられる高速道路無料化。03年より民主党が主張している政策だが、政権獲得後も依然として財源や地球環境への影響を理由に反発の声も根強い。だが、"元祖高速道路無料提唱家"といわれる今回のゲスト山崎養世氏は、そのいずれの批判も的外れだと一蹴する。もともと無料で利用できた日本の高速道路はなぜ有料化されたのか? 財政負担や環境への懸念から利益便益の向上にとどまらない、知られざる高速道路の問題を浮き彫りにする。

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【今月のゲスト】
山崎養世(一般社団法人「太陽経済の会」代表理事)

神保 今回は高速道路無料化の元祖提唱者であるシンクタンク代表の山養世さんを招き、民主党政権の目玉のひとつである同政策について議論を進めたいと思います。高速道路無料化は2003年の総選挙から民主党が主張している主要政策ですが、いよいよ民主党が政権を取り、実現の可能性が出てきたところで、急に方々からこれを問題視する声が出てきているようです。

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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第34回

厚労省の保身と暗部が生む インフルエンザ騒動の必然

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──今年の春、メキシコで発生した新型インフルエンザは、瞬く間に世界中に広がり、最終的な感染者数はすでに13万人を超えた(日本では、7月24日時点で4986人の感染が確認されている)。
日本では空港での徹底した検疫や公共機関の閉鎖など、早くから水際作戦を展開したにもかかわらず、最終的に世界でも有数の感染者を出してしまった。この作戦について、医師で厚生労働省の現役検疫官を務める木村盛世氏は、厚労省が実施した検疫強化や水際阻止は、まったくのナンセンスだったと一蹴し、自らが所属する厚労省の対応を厳しく批判する──。

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【今月のゲスト】
木村盛世(医師・厚生労働省医系技官)

神保 今回は、医師で厚生労働省医系技官の木村盛世さんをゲストに迎え、再び猛威を振るっている新型インフルエンザを例に、日本の感染症対策について議論していきます。木村さんは著書『厚生労働省崩壊』(講談社)の中で、厚労省が感染症に対していかに無策であるかということを指摘していますが、こうした行動を起こすたびに「左遷」されています。現在は羽田空港の検疫官のポストに就かれていますが、これは本来、キャリア待遇の医系技官が担当するものではないそうですね。

木村 いわば「島流しポスト」ですね(笑)。検疫所というのは、本当だったら廃止になるはずだったところが、SARS対策のために首がつながったような組織です。厚労省内で業務に問題があった人間や、私のように上に楯突いた人間を送る、「もう帰ってくるな」というポストだと思います。

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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第33回

イデオロギーが迷走する"自民党のあるべき姿"とは

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──先に行われた都議選での惨敗に続き、次期衆院選での敗北は必至という状況に置かれている自由民主党。8月上旬現在、民主党政権が誕生することがほぼ確実視されている中、これが実現すると日本では事実上初めてのリベラル政権が誕生することになる。政治史をひもとくと、人間の理性を持って正しい政策を行えば、必ず社会は良くなると過信するリベラル政権には、伝統や慣習の中に蓄積された叡知を信頼する保守政党の対抗が必要であることがわかる。では、保守政党・自民党に求められる条件とは一体なんなのだろうか?

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【今月のゲスト】
杉田敦(法政大学法学部教授)

神保 選挙前のこの時期に、地上波のテレビ番組では議論しにくいテーマだと思いますが、インターネット放送の自由度を最大限に生かして、今回は自民党の下野を前提に話を進めましょう。私が危惧するのは、政治主導を謳っている民主党が政権を取ったときに、リベラルが暴走する可能性があること。つまり、その逆勢力となる保守政党がしっかりしていないと、日本の政治がこれまでとはまた別の意味で、危うい状態になる危険性を考えておく必要があるのではないかと。

宮台 議論の前提として、自民党が保守政党なのかという問題があります。自民党は先進国でも珍しい「再配分保守」。地方の弱者が再配分を要求する場合、社会党でなく自民党を頼るほうが合理的でした。イギリスやアメリカのようなアングロサクソン系の二大政党制に見られる、国家を重視する再配分主義か、国家を最小化する市場主義かという対立が、なかったのです。冷戦体制下ではイデオロギー的な「右と左」が意味を持ちました。冷戦が終わると、自民党が果たしてきた再配分政党としての機能ゆえ、「左と右」「リベラルとアンチリベラル」の対立が何を意味するのかがわからなくなります。民主党はリベラルなパーティ・アイデンティティ(政党イメージの同一性)でまとまってきましたが、皮肉なことに長年与党の自民党がどんなパーティ・アイデンティティを持つのか見えなくなりました。

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武田徹×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第32回

グーグルブック・サーチが問う書籍データ化の"利便"と"危険"

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----現在、グーグルが日本の出版業界を震撼させている||。周知の通り、同社は書物の全文が検索できる「グーグルブック・サーチ」なるサービスの展開を、アメリカでは2004年、日本では07年に開始、拡大を進めている。これに対して05年、米作家協会などが著作権侵害だとしてグーグルを提訴するも、昨年両者の間で和解が成立した。かつて大手出版社で電子出版事業に携わっていた弁護士の村瀬拓男氏は、この和解には出版業界のあり方を根底から覆す問題提起が含まれていると指摘する。利用者にとってのメリットと著作権の問題から、ジャーナリスト武田徹氏とともに同サービスの意義を鑑みてみたい。

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【今月のゲスト】
村瀬拓男(弁護士)

武田 6月12日、改正著作権法が成立しました。著作権に対する関心が高まる中、日本国内でも2月ごろから問題になっているのが、「グーグルブック・サーチ」です。今回は、ビジネス情報サイト「ダイヤモンド・オンライン」で『「黒船」グーグルが日本に迫るデジタル開国』を連載されている弁護士の村瀬拓男氏を招き、同サービスにまつわるさまざまな問題について議論を進めたいと思います。
 本論に入る前にグーグルの歴史を振り返ると、同社は98年に設立。検索サイトを展開し、08年1月時点では、日米欧で2億人が利用しています。
宮台 初めてグーグルを使ったとき、シンプルなデザインで、アクセス数順などで検索結果が出るのに驚きました。キャッシュデータにもリンクしているので、一時的に目当てのウェブサイトがアクセスできなくても、キャッシュが見られる。非常に画期的でした。
武田 これが話題を呼び、ユーザーの信頼を勝ち得て、グーグルは急成長を遂げてきました。同社は「世界中の情報を整理し、すべての人々がアクセスできるようにすること」を使命として掲げており、これまで画像検索や、航空写真を利用した「グーグルマップ」など、さまざまなサービスを展開。街中を写真に収めて回った「ストリートビュー」では肖像権侵害が問題になるなど、物議も醸してきました。さっそくですが、アメリカ本国では04年から、日本では07年から開始された「グーグルブック・サーチ」について、村瀬さんからご説明ください。

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宇野常寛の批評
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『さらば、既得権益はびこるレッドオーシャン化した批評界!』

ITインサイドレポート
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『激変するITビジネスとカルチャーの深層を鋭く抉る!』

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