"ひねり潰す"騒動が教えるリアルとネットの関係の"今"
関連タグ : 200908 | 佐々木俊尚 | 日本的なるもの | 炎上
──普段はIT業界の最新ニュースをお伝えしている当連載、今月は、あるブログエントリーが発端となって、はてな界隈やブログ界隈を盛り上がらせた、一連の騒動の経過をご紹介。そこから見えてきたのは、ネットがもたらす"日本的なるもの"の破壊だった──。
先ごろ株式公開したインターネット企業paperboy&co.の元役員で、人気ブログ「Kousyoublog」を書いている山野光正氏(37)が6月19日、「解雇されたので起業します」というエントリーをアップした。以下のような内容だ。
山野氏は今年4月にコンサルタント企業に転職したが、同月末、風邪をこじらせて2日休み、3日目の朝になって「午後から出社します」と上司にメールで伝えた。ところが上司からは「もう来なくていい」という驚くべき返事が返ってくる。「解雇ということですか?」と山野氏が聞き、「どちらでもいいが、あなたのキャリアに傷がつくので自己都合のほうがいいですよ」「いえ、退職するつもりは無いので解雇されるつもりなら解雇通知書と解雇理由書を送ってください。その上で対応検討します」というやり取りがあった。
グーグル「ブック検索」拒否が書籍を殺すとわからない人々
関連タグ : 200907 | Google | ブック検索 | 佐々木俊尚
――グーグルが押し進めている、書籍の全文検索サービス「ブック検索」に、日本の一部の著作権社たちが、過剰とも言える拒否反応を示している。同サービスの普及によって、書籍を取り巻く状況は、本当に彼らが危惧するような悪影響を受けるのだろうか?――
......でも、開国しない理由もないのでは?
書籍の全文が検索できるようになるグーグルの新サービス「ブック検索」に対して、日本の著作権団体が激しく反発している。
いわく「日本の著作権者の意見が無視されている」「なぜアメリカの法律に従わなければならないのか」「書籍の販売が難しくなる」「作家や出版社の利益にならない」「なぜ私企業が勝手にやるのか。公的機関に任せるべきだ」等々――。
頭打ちケータイキャリアを救う? ライフログビジネスの可能性とは
関連タグ : 200906 | IT | ケータイ | ライフログ | 佐々木俊尚
ライフログという言葉が、これからIT業界の流行語になっていきそうな雲行きだ。「ライフログサミット」という日経BP主催のイベントが初めて開催され、またテレビの経済番組でも、ライフログを扱った特集を組むところが現れている。
帯可能な"執事"が生活を変える?
ライフログというのは、直訳すれば「生活(ライフ)の記録(ログ)」。ユーザーの行動を記録していき、その内容を解析して、ユーザーに適切な情報やお勧めを提供しようというビジネスだ。用語としては決して新しいものではない。1990年代にはすでに米マイクロソフトの研究者が、自分が日常生活の中で出会ったすべての情報をハードディスクに蓄積するライフログプロジェクトを行った。日本でも同じ時期、美崎薫氏というプログラマーが自分の人生で出会った人や読んだ本、観たビデオ、見た風景などありとあらゆる体験をデジタル化し、パソコンに蓄積する「記憶する住宅」という実験を行っている。彼がすごいのは、それら蓄積されたデータを「スマートカレンダー」というオリジナルのソフトを使って閲覧できるようにしたことで、このソフト上で過去の特定の日付をクリックすると、その日に撮影した写真や読んだ本の画像イメージ、出会った人の名刺、顔写真などが次々と猛スピードで、パソコンの画面に展開されていく。走馬灯そのものだ。
またしてもガラパゴス化一直線! 閉塞を加速させるモバイルテレビ
関連タグ : 200905 | IT | モバイル | 佐々木俊尚
──2011年、アナログ波が停止し、日本のテレビは完全にデジタル化される。アメリカでは、すでに移行が始まった。そこで今過渡期を迎えているのが、空いた帯域を利用したモバイルテレビ放送。しかしこの分野でも、日本は世界の潮流が読めないようで......。
のモバイル動画を夢見る......か!?
ケータイサービスの中でも、動画はキラーコンテンツだ。今はまだワンセグで地上波と同じ番組を見られるだけだが、次世代のモバイルテレビが実用化してくると、HDレベルの画質でなめらかにテレビ番組を見られるようになる。さらに、ケータイのメモリに番組を蓄積保存しておいて、あとからゆっくり楽しむことも可能になる。 リビングのテレビで見るような2時間の映画をパソコンで見ないのと同じように、テレビ番組がそのままケータイ画面上で受け入れられるとは限らない。だからこのモバイル動画は新しい文化を生み出す可能性があり、非常に注目されている。
既得権益にクラウド普及を阻まれ日本のITは世界から置いてけぼり
関連タグ : 200904 | IT | クラウド・コンピューティング | 佐々木俊尚
乾いていく一方......!?
グーグル、セールスフォース、アマゾンの3強を中心に、クラウド・コンピューティングがIT業界で台頭してきている。当然、日本市場もターゲットになっているが、既得権益が跋扈する閉鎖的な市場で、悪戦苦闘している。日本のIT界に光は差すのか──?
「プライベートクラウド」という怪しい用語が、日本のIT業界で流行している。
「クラウド」は、正しくは「クラウド・コンピューティング」といい、ここ数年台頭してきたITの新しい潮流だ。直訳すれば、「雲のようなコンピューター」。インターネットをもくもくとわき上がる雲にたとえ、その雲の中から、さまざまなソフトやサービスを取り出して使ってもらうという仕組みのことを指している。
鍵を握るは「ネット」と「個人」新聞以後のメディアが百花繚乱!
関連タグ : 200903 | IT | twitter | 佐々木俊尚 | 新聞
──日本以上に新聞社の淘汰が加速度的に進むアメリカでは、その穴を埋めるように、早くも次のメディアが続々と立ち上がっている。プロのジャーナリストではない「個人」と「ネット」を最大限活用し、このニューメディア戦国時代を制するのは誰だ!?
残された新聞社の寿命は、あとどれほどな
のか......。
新聞社をめぐる環境が、ますます悪化してきている。シカゴ・トリビューンが倒産したのは昨年の話だが、今年に入ってからアトランティック紙が「ニューヨークタイムズは5月に破綻するのでは」という記事を書き、タイムズ側が慌てて否定するという出来事も起きた。しかし同社の危機は昨年から顕在化しており、最近ではメキシコの大富豪から莫大な資金を融通してもらうことを決め、この経営危機をしのごうとしている。
またグーグルはここ数年、新聞紙面の広告枠をネットで販売するサービスを提供し、800紙以上に広告を配信していたが、2月いっぱいで終了することを決めた。この発表に対して、アメリカの有力なIT系ニュースサイト「テッククランチ」は「新聞は急降下を止められなかった。グーグルでさえ援助するつもりがないとは」と書いた。新聞はグーグルから見放された、という論調だ。
オバマ勝利の立役者となったのはSNSで集めた小口献金!?
関連タグ : 200902 | IT | オバマ | 佐々木俊尚
──02年の韓国大統領選挙以来、日本におけるネット上での選挙運動解禁に向けた動きは凍結状態にある。そんな日本を尻目に、アメリカでは今回の大統領選挙で一気にネット化が加速。オバマ勝利のカギを握っていたのは、SNSに代表されるウェブメディアだった。
解禁になることやら......。
ある国会議員秘書は、私の取材にこう話した。
「インターネットのことが理解できていないわけじゃない。ある程度理解できているからこそ、ネットでの選挙運動を解禁するのは怖いと思っているんです」
「日本でネット選挙が解禁されない理由をどう思うか?」と聞いたときのことである。「日本の国会議員は、あまりにもネットに無知すぎるのでは?」という質問に対して、秘書はそう答えたのだった。
電通の"裸踊り"が通じない!広告界で衰退する元・強者たち
関連タグ : 200901 | IT | 佐々木俊尚 | 電通
されてゆく大手代理店に、未来はあるのか?
収益悪化が止まらないテレビ局と、ネットリテラシーが低いままの大手広告代理店。ネット広告への移行が劇的に進む中、両者は構造の変化についていくことができないでいる。テレビCMが息を吹き返すのに必要なものとは──?
テレビ局がたいへんな状況になっている。
民放キー局5社の今年の9月中間決算は軒並み悪化し、日本テレビは37年ぶり、テレビ東京は33年ぶりに赤字転落してしまった。放送業界の右肩上がりの成長がついに終わり始め、いまや各局とも、制作費の削減に必死になっている。
放送業界で長年仕事をしてきたリサーチャーは、次のように打ち明ける。
iPhone苦戦で悦にはいる日本のケータイは絶滅必至!
関連タグ : 200812 | iPhone | IT | アンドロイド | 佐々木俊尚
──グローバルなマーケットとは一線を画した日本のケータイ市場。iPhoneの苦戦は、その特異性を象徴しているといえるが、それは、ケータイが進むべき進化の流れから見ると、幸福なこととはいえないようだ──。日本が陥った「ガラパゴス」の未来とは?
三者が儲かる環境を作り出したがゆえの不自
由が......。
10月下旬、グーグルが開発したモバイルOS「アンドロイド」を搭載した初めてのケータイ「G1」が、全米で発売された。製造しているのは台湾のケータイメーカーHTCで、通信キャリアはアメリカのTモバイルだ。先に発売されて世界中で流行しているアップルのiPhoneと似て、液晶画面を指でタッチして操作できるタッチスクリーン機能やGPSを搭載し、自分の好きなソフトを自由にインストールできる。さらにはiPhoneにはない方位磁石機能(グーグルマップをG1で表示すると、自分の向いている方角に応じて地図の方角も変わる)やキーボードも実装されている。
このアンドロイドケータイとiPhoneの発売で、ケータイの世界は新たな局面に入った。
マイスペース・ミュージック開始!すべての音楽は無料になる!?
関連タグ : 200811 | IT | ボブ・ディラン | マイスペース | 佐々木俊尚
そんな流れには、日本のレコード会社も抗え
ないだろう。
──CDの売り上げ減が叫ばれて久しいが、この世から音楽がなくなることはない。音楽ビジネスのモデルが大きく変わろうとしているだけだ。大手SNS「マイスペース」が開始した新サービスは、その変革の方向性を決定づけるものになるのだろうか──。
アメリカの大手SNS「マイスペース」が提供する音楽配信サービス「マイスペース・ミュージック」(MSM)が9月24日、全米でスタートした。
これは驚くべきサービスだ。現在発売されている楽曲の大半が、無料で聴けてしまうのである。ただ残念なことに、現時点でのサービス提供地域はアメリカ国内だけで、日本は含まれていない。日本国内でのサービス開始については「来年度に向けて検討中」とアナウンスされている。