展開を見せる米国動画市場へ 「どこでもテレビ」がもたらす未来
関連タグ : 201006 | Apple TV | IT | Netflix | テレビ | 佐々木俊尚
──音楽配信に電子書籍と、コンテンツ市場の大変革が続いている。次に変革を迎えるとされるのは、動画ビジネス市場だ。オンラインでの動画配信ビジネスが発展を遂げつつあるアメリカでは、アップルやグーグルのほか、各社が手探りで市場制覇を目指しだしている。
メを〜♪ という未来が待っている。
日本ではオンラインの動画配信はまだ黎明期だが、アメリカではこのビジネスがついに離陸しつつある。ネット配信がハードディスクレコーダーを駆逐しそうだという話もあるほどだ。
たとえば、オンラインDVDレンタル(ネットで申し込むと、宅配便でDVDが送られてくるサービス)最大手のネットフリックス(Netflix)は、昨年暮れから「ウォッチインスタントリー(すぐに観る)」というサービスをスタートさせた。これはPlayStation3、Xbox 360などのゲーム機やネット対応テレビ、パソコンの対応アプリなどを使うことで、動画をネット配信で有料視聴できるようになるというものだ。
昨年後半には、会員約1230万人のうち、ウォッチインスタントリーで映画や番組を15分以上観た人は48%にまでなっている。実に会員の半数近くが、DVDの現物をレンタルするだけでなく、ネット配信でも動画を観るようになってきているということだ。
一時決着のグーグルvs中国政府 長い目で見た勝者はどちらか?
関連タグ : 201005 | Google | IT | 中国 | 佐々木俊尚
今のうちかも。
グーグルが検索ビジネスを中国から撤退させることを決めた。この数カ月、世界中のネットユーザーたちから注目を集め続けた中国政府との戦いに、ひとまず決着がついたわけだが、この騒動から見えてきたものは一体なんだったのだろうか?
グーグルが検索ビジネスを中国から撤退させた。
この決定に対して中国は、「いち私企業が何を偉そうに」と憤っている。「グーグルが去ろうが去るまいが、中国政府はネット規制の原則を変えるつもりはない。中国のネットのルールや法制度を私企業が変えようと考えるなどというのは、実に愚かしいことだ」と。
iPad vs Kindle 何が勝敗を決めるのか?
関連タグ : 201004 | iPad | IT | Kindle | 佐々木俊尚
読書したくなるほうを選ぶわよ」
──アップル社の新製品iPadのリリースが迫り、先行する電子書籍リーダー・Kindleとの争いの行方に注目が集まっている。だが、そこで今メリット・デメリットとして議論されているものは、実は的を射ていない。では、何が真に勝敗を決めるのだろうか?
アップル期待の新製品「iPad」の発売が近づいてきた。アップルからのアナウンスによれば、無線LANでネットに接続できるタイプは3月下旬発売、3Gの携帯電話データ通信機能を内蔵できるタイプは4月発売だ。本誌が発売される頃には、もう予約も開始されているだろう。
IT業界界隈では、先行する電子書籍リーダーであるアマゾンのKindleとiPadのどっちが勝つのか?ということが盛んに論議されている。今回はその勝敗の行方を論じてみよう。
ついに始まったニュースサイト有料化 日本の新聞はどう舵を切る?
関連タグ : 201003 | IT | ニュースサイト | 佐々木俊尚
新聞社は敗色濃厚?
日本よりも早く淘汰の進むアメリカの新聞業界で、ニューヨークタイムズがウェブの有料化を決めた。広告収入減少が止まらない中で、課金収入を目指す動きは今後も出てくるはず。日本の新聞社が、自社メディアとして有料サイトで収益を上げることは可能だろうか?
世界最高のクオリティとも言われているアメリカの高級紙・ニューヨークタイムズが、ついにウェブ版の有料化を決めた。どんどん経営状態が悪化していく中で、リーマンショック以降はオンラインの広告も伸び悩み、「広告で無料購読を維持していく」という方向性自体が成り立たなくなってきたからだ。
名前検索で自分があらわに!エゴサーチ の浸透がもたらす未来
関連タグ : 201002 | IT | エゴサーチ | 佐々木俊尚
然、失敗につながります。
ネットを使い始めた当初、自分の名前で検索をかけた経験のある人は多いはず。それと同様の行為が、今後社会的に意味を持つことになりそうだ。個人の名前で検索をかけることで、その人となりや業績・過去の活動などを調べる"エゴサーチ"が浸透し始めている。
「エゴサーチ」という言葉が、たぶんこれから流行し始めるはずだ。
どういう意味か? 簡単にいえば、グーグルやヤフーなどの検索エンジンで、自分が使っている名前やペンネームなどを検索し、インターネット上で自分がどのような見られ方をしているかを調べる行為のことだ。これからはこのエゴサーチを使って、みんながセルフブランディングをネットで行うようになる。
賑わう 電子書籍リーダー 市場 読書のカタチはどう変わる?
関連タグ : 201001 | IT | キンドル | 佐々木俊尚 | 電子書籍リーダー
ついに今秋から日本での購入が可能になった、アマゾン発の電子書籍リーダー「キンドル」。今アメリカでは、キンドルのほかにも複数の電子書籍リーダーが発売され、市場は活気づいている。この機器が読書にもたらす変化とは、どのようなものなのだろうか。
読書の輪! は、現実となるか?
英語圏ではいま、ものすごい勢いで電子書籍リーダーが次々に発売されている。2007年に登場したアマゾン社のキンドル(Kindle)はすでに50万台の大台を超えていて、近いうちに100万台に達する勢いだ。日本でも先ごろ購入可能になり、話題になった。まだ日本語の書籍はキンドルストアで販売されていないが、11月末のファームウェアのバージョンアップで、日本語のPDFファイルを表示できるようになった。気の早い日本のギークたちは、青空文庫などから無料でダウンロードした古い小説をPDF化して、キンドルの画面に表示させて読むといった遊びをすでに始めている。
「グーグル・ウェーブ」は本当にコミュニケーションを変えるのか?
関連タグ : 200912 | Google | IT | 佐々木俊尚
──パブリックプレビュー版がリリースされたグーグルの新サービス「ウェーブ」。その先進的機能は各所で話題を呼んでいるが、いささか期待が過剰な面もあるようだ。同サービスは、今あるコミュニケーション方法を飲み込んで変化させる、波となれるのだろうか──。
振り落とされる人も出てくるはず。
グーグルの新しいコミュニケーションサービス「ウェーブ」が、いよいよ一般公開された。今春に開発が発表されて以来、非常な期待を持たれていたが、9月末に約10万人のユーザーを対象にしたパブリックプレビュー版をリリースしたのである。日本国内でもユーザーは徐々に増えつつあるようだ。
ネット上ではさっそく「ウェーブはすごい」「これでコミュニケーションは劇的に変わる」と手放しの称賛があふれ返っている。しかし、本当にそうだろうか。アメリカの著名ブロガー、ロバート・スコーブルのように、「騒ぎすぎ。こいつは生産性をどんどん下げてしまう屑みたいなツールだ」とこき下ろす人も現れており、今のところは賛否両論という状況のようだ。
日本のITを殺しているのは、政治か経営者か、IT業界か?
関連タグ : 200911 | IT | 佐々木俊尚 | 政治
──ネット世界とリアル社会の接続が進まない日本。その背景にあるのは、産業界や政界のトップたちのIT音痴ぶりと、新たなプラットフォームの形成を阻む、ほかならぬIT業界の内輪事情だ。ネット言論の力が強まりゆく今、日本のITはどこへ向かうのか?──。
でもいずれは若い希望の芽が育つ、のか?
はてな匿名ダイアリー」に9月24日、「日本のITってどうして糞ばかりなんですか?」というエントリーが書き込まれた。次のような内容だ。
「やれブログだ、やれクラウドだ、セカンドライフだ、ツイッターだ、2・0だ、Ajaxだ いろいろアメリカ発の技術やら流行やらを追いかけて、騒いで そのたびにフラフラとしている日本のIT関係者ってなんなんだろうと思うのですが この流れはどうにかできない物なのですか?(中略)技術力云々の話じゃないと思うんです 精神論で片付ける日本をはてなの皆さんは嫌っているようですが 精神論ですら米国に負けてるんじゃないかと思うわけですが、どうでしょう」
進まぬ日本の医療のIT化 阻むは医療関係者のウェブ嫌い
関連タグ : 200910 | IT | 佐々木俊尚 | 医療
──現在、アメリカで導入が進んでいる医療のソーシャルメディア化。PHRと呼ばれるこのシステムは、医師・患者・患者の家族の3者それぞれに利益をもたらすものだが、日本ではまだ導入される気配もない。日本の医療界のIT化の現状は惨憺たるもので──。
言ってる場合じゃないんですよ、センセイ!
PHR(Personal Health Record)という言葉をご存じだろうか? ITを使って医療をソーシャルメディア化していこうという試みがいまアメリカで進んでいる。さまざまな病院に保存されている電子カルテや処方箋、それに自分自身が自宅で計測した体脂肪率や血圧、万歩計などの数字をすべて統合してデータベース化し、これを患者や患者の家族も自由に閲覧して、自分自身の健康管理システムを作っていこうという考え方だ。
アメリカは、マイケル・ムーア監督が映画『シッコ』で描いて全世界に知れ渡った通り、健康保険未加入の国民が5000万人に達するなど、国全体の医療事情は非常に悪い。しかしミドルクラス以上を対象にした最先端医療サービスは日本よりもずっと充実していて、すでにこのPHRも実用的なサービスとして登場してきている。提供しているのはマイクロソフトとグーグルの2社だ。マイクロソフトがまず07年にHealth VaultというPHRサービスを提供し、翌2008年にグーグルがGoogle Healthで後を追った。
広告収入減の各社にダメ押し! あらわになる"押し紙"タブー
関連タグ : 200909 | 佐々木俊尚 | 押し紙 | 新聞
──大手メディアの間で長年タブーとされてきた新聞社各社による"押し紙"問題。6月に「週刊新潮」が報じたのを皮切りに、そのタブーが破られ始めた。広告収入も減る一方の新聞社にはまさに泣きっ面に蜂のこの事態、新聞総倒れの契機となるかもしれず──。
さらおろおろしても、時すでに遅し!?
いま、こういう噂が流れている──新聞に全面広告を頻繁に出している大手メーカーが、広告代理店に強硬な質問状を送りつけてきた。それはこういう内容だった。
「本当に押し紙というのは存在するのか。もし本当に存在するのであれば、これまで我々が支払ってきた広告料金は、過剰請求ということになるのではないか。これは詐欺と呼んでも差し支えない事態であり、場合によっては訴訟も辞さない」