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タブー破りの共産党本

元日本共産党ナンバー4 筆坂秀世が選ぶ 永田町の真実をえぐり出す本

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(写真/田附愛美)

──政権交代前の盤石だった政権与党の腐敗体質から、言行不一致の万年野党の内情までを知る元日本共産党幹部・筆坂秀世氏。そんな彼も驚いたという、日本国憲法の原理原則から、「政治の本質を理解できる」本とは?

──筆坂さんは共産党の議員時代、政策委員長という党のナンバー4の要職に就いていました。

筆坂 共産党は「理論政党」といわれてきたくらいでして、政策を非常に重視しています。政策委員会は、日本共産党の頭脳集団と呼べるでしょう。僕はその委員会の責任者として、選挙ではどういった政策を打ち出すのか、国会論戦にはどういったスタンスで臨むのか、という戦略立案にかかわってきました。

──その頭脳集団のトップであった筆坂さんが、共産党の内実を本に書いたのは異例のことで、共産党も猛反発し、話題になりました。

筆坂 共産党の本当の姿、等身大の姿はあまり知られていません。僕は共産党に約40年間籍を置き、政策委員長や書記局長代行などを務めてきました。その僕なら、共産党のありのままの姿を描けるだろうと思い『日本共産党』【1】を書いたのです。「共産党は、どの政党よりも党内民主主義を大事にしてる」と、不破哲三氏(共産党前議長)を初めとする幹部は強調してきました。共産党は党大会で、膨大な量の大会決議を採択していきます。「トップだけが党の方針を決定しているのではない。支部や地区、都道府県の各段階で議論を積み重ね、最終的に党大会で決定する。ここまで民主主義的なあり方を貫いている政党はほかにない」と共産党は言います。ところが、長文の議案をじっくり読む党員は数少ない(苦笑)。「党内民主主義」の前提が崩れているんです。共産党は「革命政党」を標榜していますが、「もはや革命は遠くなりにけり」です。共産党の実像は、この本を読んでいただければよくわかると思います。

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ナショナリストな左翼が選ぶ安直な"右翼"に対処する 懐が深い"左翼"本のススメ

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──"ネット右翼"という単語が象徴するように、安直なナショナリズムが践雇する右翼。"理想論を掲げ、狭量できれいごとしか言わない"と見られがちな左翼。"ナショナリストな左翼"を自認する哲学者・萱野稔人氏に、薄っぺらな右派左派ブームに惑わされないための良書を聞いた。

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(写真/江森康之)

萱野 まずネット右翼とされる人たちに対する僕の理論的スタンスについて、お話ししたいと思います。三浦展氏の『下流社会 第2章』(光文社新書)の最初に、自分が下流かどうかを確かめる「下流度チェック」が掲載されているのですが、その中に「韓国や中国はいやだと思うことが多い」という設問があるんです。

──つまり、嫌韓・嫌中の人は下流が多いと?

萱野 もちろん学問的には簡単にそうとは言い切れないのですが、ここで示されているのは、グローバル化していく社会から取り残された人々がその危機感の裏返しとして嫌韓や嫌中といったナショナリズムに走っているという構図です。社会の脇に追いやられた人々が「日本人であること」に依拠しながら自らの存在をアピールしているわけで、だからこそ彼らは「反日的なもの」に過剰に反発してしまう。この意味で、これまで左翼が行なってきたような、ナショナリズムの負の側面だけの批判はそれほど有効ではありません。なぜ彼らのようなナショナリズムが出てきたのかという背景を問題にし、彼らの危機感に響くようなことを言っていかないと、今のナショナリズムには対処できないと思います。

──現在の左翼には、それができていないと?

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タブー破りのスピリチュアル本

学会&スピリチュアルな生き方が行間からダダ漏れなタレント本をプロ書評家・吉田豪が斬る!

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──芸能活動に支障を来すことを恐れ、芸能人が宗教やスピリチュアルについて大っぴらに語ることは少ない。しかし、吉田豪の手にかかれば、自伝やエッセイから彼らの秘密が透けて見えてきて......。

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吉田 豪氏。

 芸能界のタブーといえば宗教関係、特に創価学会でしょうか。まずは、カミングアウトしていないけどバレバレな一冊から。

 WINKの『Twinkle Angels』【1】。2人がそれぞれ好きな人に会いに行く「あこがれ対談」というコーナーがあるんです。さっちんは坂口良子という普通のチョイスなんですが、相田翔子が選んだのがバリバリの学会員・岸本加世子なんですよ。翔子が「お会いするのはこの日が初めて」とか言ってるわりに、岸本加世子の発言がヘンなんですね。たとえばまだ翔子に会う前、「すごく新鮮な人たちだなって思って、知り合いになれたらいいなって。(略)それで、面識もないのに突然(翔子がツアーで滞在中の)ホテルに電話してね(笑)。普通そういうことってないでしょう?」って、ないよ(笑)。果ては、「この間ね、お母さまともお電話で30分くらいしゃべっちゃったの」とか......あれ、知り合いでもないのに、なんで母親と? おそらく婦人部のつながりがあったんでしょう。なぜ翔子のほうが芸能界でサバイブできたのかという勝因が、この人選に見えてきますね。

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タブー破りのジャニーズ本

トシちゃんの性の目覚めは××? ヤバいジャニーズ本をプロ書評家・吉田豪が斬る!

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『職業=田原俊彦』(ロング新書)。

──ジャニーズにまつわる暴露本やタレントによるエッセイは多い。ここでは、数あるなかでも、センセーショナルなものを、プロ書評家・吉田豪が選出する!

 まずはジャニーズ公式本から、フォーリーブスが大人気だった頃に出された『ジャニーズ・ファミリー~裸になった少年たち~』【1】。これは、芸能ジャーナリストが著した本ですが、ジャニーさんについて公式に語られているクダリが、ものすごいツボに入った1冊でしたね。最初に「育ての親ジャニーさん」という章がちゃんとあって、「ジャニーさんについてまず触れておかなければ、この本は先に進まない」と始まっている。ものスゴく気になって読み進めるとわずか数行で「彼が、何故、急に来日したかについては、この際、あまり深く探っても意味はない」とか言い出して、そんなに触れにくいなら、触れなきゃいいのに(笑)。当時から、ジャニーさんには扱いづらい空気があったということなんでしょうね。中身はありきたりなタレント本ですが、北公次がおりも政夫を殴りつけたという描写があって、「殴りながら、彼らはさわやかだった。殴られながら、彼らは憎み合わなかった」と、殴り合いが鉄壁のチームワークを誇るエピソードとして書かれている(笑)。そして、「仲間とは何だろう、友とは何だろう。何もかも捨てて、裸になってぶつかり合う潔さではないか」とあって、「裸になった少年たち」というタイトルがついた、と。別に深い意味はないんだろうけど、今読むと意味深に思えてしまいました。

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タブー破りの文壇本

【文壇端っこ対談】渡部直己×小谷野敦 日本文学はすでに死に体なのか!?

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──一般的にタブーとされている事柄、たとえば大企業の裏側や天皇制に触れた気骨ある小説は多々ある。しかし現在の「文壇」において禁忌とされるのは、それらよりもむしろ、作品の批評にあるという。共に苛烈な批判を繰り広げることで文壇の嫌われ者となった文芸批評家2人が、文壇の今を憂う。

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(写真/江森康之)

渡部(以下、)いわゆる文壇タブーの一本筋っていうのは、基本的には"天皇"ですよ。

小谷野(以下、)劇作家の坂手洋二の演劇『だるまさんがころんだ』がNHK衛星放送で上演されたとき、冒頭に林あまりと鈴木裕美と坂手の鼎談があったんだけど、そこで一回も坂手の作品名については言及されなかった。なぜかというと、坂手の作品といえば読売演劇大賞を受賞した『天皇と接吻』【1】がある。これは、結構厳しい天皇制批判の内容だから。

 大江健三郎の『セヴンティーン第二部 政治少年死す』【2】は、深沢七郎『風流夢譚』(「中央公論」60年12月号に掲載)と並ぶ、戦後の天皇小説の代表作。

 昭和35年の、浅沼社会党委員長刺殺事件を下敷きにした作品で、右翼団体の抗議に遭ったために単行本は出ていないけど、(後に所収)鹿砦社の『スキャンダル大戦争2』に掲載されていました。

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タブー破りの創価学会本

創価学会員なら一家に1冊!"称賛&嘲罵"な学会関連書籍

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──創価学会にまつわる書籍は驚くほど多い。ここでは、数多ある学会関連書籍から、現場学会員が「読むべき良書」と「反学会本を、どのように読み解いているか」を赤裸々に語ってもらった──。

[座談会出席者]
A...いわゆる学会二世の40歳。10代の頃はあまり熱心でなかったが、学生時代に先輩の激励で発心。日蓮大聖人をひもとく書籍が好き。
B...学生時代に友人の紹介で入信した37歳。20代の頃は折伏活動に精を出したが、現在は仕事優先の毎日。反学会本を常にマークしている。
C...学会二世の27歳。信心に目覚めたのは、現在の婚約者が熱心だったから。学会関連本は、アンチから池田先生の名著まで、幅広く読んでいる。


A 今回は現場の学会員が解説する学会関連本という企画なんだけど、まず紹介したいのは『人間 池田大作 私の見た素顔』【1】。著者の木村恵子氏は学会員でもないのに、池田先生のドキュメント番組『人間 池田大作』を制作した人物だ。

B 周囲の反発を受けつつも、番組を作っていくうちに池田先生の人柄に触れていく内容だけど、そんなに反発が多かったとは(苦笑)。その先生の素顔が散見できるのが、学会員は誰でも読んでいる『池田大作の軌跡Ⅱ 平和と文化の大城』【2】だ。

C 月刊誌「潮」(潮出版社)に連載された、ルポルタージュとなっている。1974年あたりから水俣病の患者たちを激励したり、戸田城聖第2代創価学会会長の会社の資金難を乗り越えるため、埼玉県まで借金の申し入れに行くなど、現在の学会の礎を築いた内容が心に響く。

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タブー破りの写真集

"9・11"以後の"私報道"......隠匿された真実を白日の下に晒すドキュメンタリー写真集の強度

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──危険地域に踏み込み、生々しい光景をカメラに収める――。ドキュメンタリー写真と聞いて、そんなイメージしか浮かばないあなたは、見識の低さを自覚すべきだ。写真による記録とは、かくも奥深く多様な表現なのだから。

■ベトナム戦争の現場と米兵の蛮行

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【1】『VIETNAM INC.』
Philip Jones Griffiths/1971年/Collier
1966年から70年にかけてベトナム戦争を取材。緊迫した戦いの現場はもちろん、現地でのアメリカ兵の蛮行もカメラにとらえたグリフィスの作品は、当時の反戦運動を加速させるきっかけにもなった。


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タブー破りの"凶悪犯罪"本

被害者遺族を尻目に出版される"人殺し本"が持つ、"処方箋"としての効果とは?

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『死刑でいいです』(共同通信社)。

──06年5月、福島県で、男子高校生が、母親を殺害して、頭部を切断。9月には京都で、就寝中の父親の首を、娘がオノで切りつけて殺害した。事件の本質を理解し、再発を防ぐために「出版」に課せられた責務とは?

常人では理解しがたい凶悪事件が起こるたび、それに関連した報道が連日のように繰り返され、事件の真相、犯人の真の動機などを探ることをテーマにした書籍が出版される。コラムでも紹介している『僕はパパを殺すことに決めた』【1】は、その代表格だろう。

 そうした本、特に加害者側に立った本の出版を考える上で、被害者と残された被害者遺族という存在を忘れてはいけない。光市母子殺害事件に関するナーバスな報道を見れば、加害者の言動や動機、弁明が、被害者遺族や報道する側の感情を逆撫でする性質を持っていることがわかる。時に殺人を正当化するような加害者の言い分が、出版を介して流布されることもある。ゆえに、その是非をめぐる議論が巻き起こるのが常だ。

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タブー破りの"圧力団体"本

駅のホームに電車が入ってきた瞬間に背中を......内部告発者が身の危険をさらした「朝鮮総連」本

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『内側から見た朝鮮総連』(イースト・プレ
ス)。

 近年、朝鮮総連への捜査が盛んに行われ、その模様が頻繁に報道されている。かつては、その活動が公になることのない秘密組織であったはずだが----。

 在日朝鮮人の団体である「在日本朝鮮人総聯合会」(以下、総連)。政治的にも、メディアにとっても、今や総連はタブーではないという。

 タブーが破られるきっかけとなったのは、2002年9月17日、日朝首脳会談において、金正日が日本人拉致を認めたことにある。これにより、北朝鮮の出先機関である総連も衝撃を受け、内部統制に亀裂が生じたのだ。その結果、それまで秘密にされてきた、総連の内情を暴露する本が次々に発売されることになる。そのため、現在、総連に関する暴露本は、『朝鮮総聯の大罪』【8】など、そう珍しいものではない。

 そんな中で『わが朝鮮総連の罪と罰』【9】は、「9・17」以前の02年4月に発行された画期的な本であった。同書は、総連中央本部財政局副部長まで務めた著者が、自身がかかわってきた活動を紹介するかたちで、内情を暴露したものだ。

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タブー破りの"圧力団体"本

朝鮮総連、日本共産党、フリーメイソン、経団連......日本の"タブー組織の構造"を知る本

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『闇人脈』(講談社)。

「日本を裏で操る圧力団体」は確かに存在する。では、実際、日本にはどんな圧力団体があるのだろうか? タブー視されがちな彼らを正しく理解するための本を探してみた。

今、日本で最も影響力のある圧力団体、利益団体といえば、日本経団連だろう。日本を代表する大企業が名を連ね、政策に関するさまざまな提言を行っている。各政党にとっても、政治献金の供給元である経団連の声は無視できない。また、マスコミにとっても、経団連に名を連ねる企業は重要なスポンサーだ。それゆえ、経団連に対する批判的なマスコミ報道はもちろんのこと、批判的な本すら現時点ではほとんどない。

 そんな中で、献金や助成金を一切受け取っていないことが強みの日本共産党の佐々木憲昭代議士が、経団連の分析、批判本を出版している。 『変貌する財界 日本経団連の分析』【1】では、経団連の役員企業の株式の多くがアメリカを中心とした外資系企業によって保有されている点などを挙げて、政府がアメリカへの従属支配への道を歩んでいると告発する。また、各党の政策を「評価」し、会員企業による献金を呼びかけるという経団連の活動を「政策買収」だ、などと批判をしている。経団連という団体の影響力を実感できる一冊だ。

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