映画でわかるアメリカがわかる
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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第33回

明るくもアナーキーな白人一家が抱える闇

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【今月の映画】

『『The Wild and Wonderful Whites of West Virginia』』
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アメリカの山奥に住む、貧しくも"アナーキー"な白人一家を追ったドキュメンタリー。数多くの犯罪に手を染め、司法をもさじを投げた彼らの暴挙の裏には、アメリカの裏面史ともいえる移民たちが抱えた悲しき物語があった──。

監督/ジュリアン・ニッツバーグ 出演/ジェスコ・ホワイトほか。日本での公開は未定。


 ワイルドでワンダフルなウェスト・バージニアのホワイト一家』は、あるヒルビリーの家族の1年を記録したドキュメンタリー映画だ。ヒルビリーとはアメリカの山奥に住む貧乏な白人たちのこと。東部をジョージアからニューヨークへと南北に貫くアパラチア山地と、南部をミズーリからオクラホマへと東西に延びるオザーク山地に住んでいる。日本人は絶対に訪れない場所だ。

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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第32回

ド素人の落書きが芸術?アートバブルの皮肉

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【今月の映画】

『Exit Through the Gift Shop』
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ロサンジェルスで古着屋を営むティエリーは、ある時、自分の従兄弟が著名なストリートアーティストだと知る。常にビデオカメラを回すクセがあるティエリーは、従兄弟の作品を撮影し続け、やがて多くのストリート・アーティストらと交流を持ち、その姿をカメラに収めていた。そんなある日、バンクシーと知り合うことができたのだが......。
監督/バンクシー 出演/ティエリー・グエッタほか ナレーション/リス・エバンス 日本での公開は未定。

 映画『Exit Through the Gift Shop(土産物屋を通って退場)』は世界的アーティスト、バンクシーが監督した奇々怪々のドキュメンタリーだ。

 サンフランシスコのラティーノ地区に、こんな落書きがある。

「No Trespassing(私たちの土地につき許可なく立ち入り禁止)」

 本物の立て札のついた壁に、インディアン(アメリカ先住民)の等身大の絵。白人が略奪した国への皮肉だ。この絵は数日前までは存在しなかった。4月23日の夜に、バンクシーが無許可で描いたものだ。

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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第31回

神のご加護も届かない"ゲイ"共和党員の憂鬱

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【今月の映画】

『アウトレイジ』
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 ゲイであることをカムアウトできず、また、否定しながら任務を全うするアメリカの大物議員たち。時に彼らは、同胞でもあるはずの同性愛者を虐げる法案に投票する。そんな彼らの心に秘めた深い"闇"を浮き彫りにする、渾身のドキュメンタリー。

監督/カービー・ディック 出演/ジェームズ・マクグリーヴィほか。
「アウトレイジ」は東京MXテレビの「松嶋×町山 未公開映画を観るTV」で放送予定です。

 3月3日、共和党のロイ・アッシュバーン上院議員(カリフォルニア州)が飲酒運転で逮捕された。ゲイバーの駐車場から出たところを。アッシュバーンは4人の子どものいる離婚経験者だったが「自分はゲイだ」と認めた。

 問題なのは、アッシュバーンがゲイかどうかではない。彼が今まで「同性間の結婚」をはじめとする同性愛者の権利拡大に反対してきた事実だ。

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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第30回

チリチリ髪は良い髪!?ヘアスタイルと米社会問題

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【今月の映画】

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『グッド・ヘア』
愛娘の無垢な質問から、アフリカ系アメリカ人の髪型について洞察を開始したクリス・ロック。理髪店やヘアケアにまつわる研究所を見学し、さらには歴史的な影響も考察し始める──。髪型から垣間見える人種的アイデンティティを問う作品。 監督/ジェフ・スティルソン 出演/クリス・ロック、サラ・ジョーンズ、ニア・ロングほか。Tokyo MXテレビの『松嶋×町山 未公開映画を観るTV』(毎週日曜夜11時)で4月に放送予定!

「パパ、どうして私の髪はグッド・ヘアじゃないの?」

 8歳の娘から悲しい顔でそう言われた時、クリス・ロックは当惑した。ロックは2005年のアカデミー賞授賞式の司会として日本では知られる黒人コメディアン。ブッシュ政権を徹底的に笑いのめす一人しゃべくりツアー「怖いものなし」はロックコンサート並みの観客を集めた。彼は人種を超えて今、アメリカで一番人気のコメディアンだ。

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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第29回

厳格なユダヤ人の信仰とジョークとロックンロール

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【今月の映画】

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『ア・シリアス・マン』
1967年、アメリカ中西部──。妻とふたりの子どもと暮らす、ユダヤ人大学教授ラリーの人生は、ごくごく真っ当なものだった。だがある日、妻のジュディスが離婚を切り出し、人生の歯車が狂い始める。子どもの素行不良、肉親の交通事故、卒業をめぐる賄賂などマジメなユダヤ人教授に多くの災難が降りかかり......。
監督/ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン 出演/マイケル・スタールバーグ/リチャード・カインド 日本公開は未定。

 コメディアンにはユダヤ系が多い。マルクス兄弟とウディ・アレンのほかにも、メル・ブルックス、ピーター・セラーズなど挙げればキリがない。

 実際、数千年にわたって弾圧されてきたユダヤ系はジョークの宝庫として知られている。笑いは過酷な現実から自分を守る盾だった。祖国を失い、差別され、宗教裁判で拷問され、ポグロムで家を焼かれ、ホロコーストで虐殺された。あまりに理不尽だ。こんな現実は受け入れ難い。なら、笑い飛ばすしかない。

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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第28回

ファーストクラスが住居!?リストラ請負人の"福音"

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【今月の映画】

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『マイレージ、マイライフ』
バックパックに入らない荷物は、いっさい背負わないこと──。自身の人生哲学をこう表現するライアンの生活は、1年のほとんどを出張で過ごしている。だが、経費削減の波は彼の会社にも押し寄せて、出張禁止となるが......(原題は『UP IN THE AIR』)。
監督/ジェイソン・ライトマン 出演/ジョージ・クルーニー、ジェイソン・ベイトマン、ヴェラ・ファーミガほか。日本では、3月20日より公開予定。

「この一年で私はマイレージを35万マイル稼いだ」

『マイレージ、マイライフ』の主人公ライアン・ビンガム(ジョージ・クルーニー)は、年間322日も旅路にある。アメリカ各地を飛び回り、そのほとんどは飛行機の機内だ。

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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第27回

ハリウッドがもっとも嫌う貧困層の絶望と真実

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【今月の映画】

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『Precious』
1987年のニューヨーク──。ハーレムの貧困層住宅街に住む16歳の少女プレシャスは、蒸発した父親の2人目の子どもを妊娠している。残った母親は、自分の男を寝取った実の娘を虐待する毎日。まともな教育も受けず、読み書きもままならないプレシャスは、妄想の中にのみ、希望を見いだしていた。そんな彼女にも転機が訪れるのだが......。
監督/リー・ダニエルズ 出演/ギャビー・シダイブ、モニークほか

「オー、プレシャス! プレシャス!」

 お婆さんが可愛い赤ん坊を見かけた時なんかにそう言う。「プレシャス」とは「大切な」「かけがえのない」「可愛い」という意味。この場合「まー、かわいらしくて食べちゃいたい!」みたいな感じだ。

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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第26回

内部告発で自爆した虚言癖で躁鬱のエリート

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【今月の映画】

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『インフォーマント!』
マーク・ウィテカーは大手穀物商社に勤めるエリート社員。だが、彼はFBIをも巻き込んだ国際的な企業不正の密告者となる。自社の不正をスパイさながらに暴いていくウィテカーだったが、自身の不正までも露呈されてしまった。ウィテカーは次第に追い込まれ、事実と妄想の判別がつかなくなっていく――。
監督/スティーヴン・ソダーバーグ 12月5日より恵比寿ガーデンシネマほか全国公開

 リシンは、豆や魚に多く含まれるアミノ酸の一種。成長促進剤として家畜の飼料に混ぜられる。これを生産する世界の大手四社の幹部が秘密の会議をしているビデオが公表された。彼らは「重さ1ポンドあたり1ドル16セントにしようか」などとリシンの価格を決めている。価格協定を結ぶ談合の現場だ。

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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第25回

都会の家族が挑んだ環境汚染ゼロ生活

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【今月の映画】

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『ノー・インパクト・マン』
(原題:No Impact Man)

ニューヨーク在住の作家コリン・ビーヴァンによる、地球環境に影響を及ぼさない(ノー・インパクト)生活に密着したドキュメンタリー。妻と幼い娘を巻き込んだ、彼の1年に及ぶ山あり谷ありの「エコ生活」の末に見えたこととは......。
監督/ローラ・ギャバート、ジャスティン・シャイン 日本での公開は未定


 環境に一切、悪影響を与えないで生活できないか? 自動車には乗らない。電気は使わない。ゴミは捨てない。

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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第24回

死後には評価が一変!? オナニー死が生む悲喜劇

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【今月の映画】

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『世界で一番偉大なパパ』
(原題:The World's Greatest Dad)
高校で詩を教える教師ランスが、自慰行為中に誤って死亡してしまった息子のために、家族の恥を隠そうとニセの遺書を作ってしまったことから大騒動が巻き起こるブラック・コメディ。監督/ボブキャット・ゴールドスウェイト 日本での公開は未定


 今年6月4日、タイのバンコクのホテルで、ハリウッド俳優デヴィッド・キャラダイン(72歳)が死んだ。キャラダインは70年代、テレビシリーズ『燃えよ! カンフー』で人気を博したが、それ以降は不遇で、ゴミのような映画に山ほど出演して生活していた。数年前、クエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル』二部作(03・04年)で題名になっている殺し屋ビルを演じて久々に注目を浴びたが、一般人にはほとんど知られていなかった。

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おなじみのアフロ君がくさす、毎月の気になるニュース。
花くまゆうさくの
カストリ漫報
『おなじみのアフロ君がくさす、毎月の気になるニュース。』

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神保哲生×宮台真司の
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『ゲストと共に“ワンテーマ”を掘下げるネット発の時事鼎談。』

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佐々木俊尚の
ITインサイドレポート
『激変するITビジネスとカルチャーの深層を鋭く抉る!』


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