およそ13年ぶりとなるSEEDAの新作は『親子星』と命名された。年齢を重ねても変わらぬ求心力と時代を見据えた作品のクオリティを両立させるのは至難の業だが、SEEDAは不可能を可能にする稀代のラッパーだ。
ラッパー・SEEDAのアルバム『親子星』は、ソロ名義では実に約13年ぶりの作品となった。13年という歳月は決して短くない。しかしSEEDAに“空白”という印象を抱く者は少ない。彼が主宰するYouTubeチャンネル『ニートtokyo』の運営をはじめ、若手からベテランラッパーまで多様な楽曲へのフィーチャリング、『POP YOURS』や『THE HOPE』といった国内最大級のヒップホップフェスへの参戦、そして次世代ラッパー発掘オーディション『RAPSTAR』(ABEMA)では最年長の審査員を務める。
アルバムに先駆けて次世代のラッパー3組と共演した「Slick Back feat. Tiji Jojo, Myghty Tommy, LEX」と、彼の不朽の名盤『花と雨』に収録された「Daydreaming」の続編となる「Daydreaming pt.2」のリリースで胸を高鳴らせた者は、アルバムの収録曲である「L.P.D.N.」に記載されたVERBAL(m-flo)のクレジットにも胸を熱くしたはずだ。今をときめく20代を中心としたラッパーがヒップホップシーンの隆盛を支え続ける中、SEEDAが年代を問わずワクワクさせてくれるのはなぜなのか。
「新・ニッポンの論点」という特集でSEEDAに白羽の矢を立てたのは、新作『親子星』のリリースに合わせて――というのもあるが、四十路を越え、こうして衰えるどころか勢いが増すばかりの彼に、若年層が牽引し、かつ移り変わりの激しいヒップホップゲームでサヴァイブする術を聞きたかったからだ。SEEDAはひとつの回答として「共作」という言葉を残した。詳細は後述するとして、なぜ彼は世代を超えて絶対的な信頼を置かれ、同業者のみならず、リスナーやヒップホップに従事する関係者たちからもリスペクトされ続けているのか。その回答も導き出す。
――アルバム『親子星』の構想はいつから練られたのでしょうか?
SEEDA(以下、S) 去年の1月くらいから制作に入ったんですけど、D3adStock【編註:『ラップスタア 2024』ファイナリストに残った東京出身のラッパー/ビートメイカー】と1~2曲作ったらうまくいったんで、そのままアルバムを作ろうって話になったんですよ。ただ、D3adStockがラップスタアに出場して勝ち進み、かつ僕も審査員で入ってる番組だったんで、制作をいったんストップさせたんです。まさか彼がファイナリストまで残ると思ってなかったんですよ。結果的に6月に放送が終了したんで、そこから制作を再開して完成させました。
『親子星』SEEDA(CONCRETE GREEN)
――タイトル通り、子を持つ父親としての側面も打ち出すことがひとつのテーマとしてあったのでしょうか?
S 全体的に意識したわけではなくて、父と子をテーマにした曲を1曲作りたいなと。何曲か作った中で一番よかったのが「親子星」だったんです。いつだったか息子と一緒にスーパーに買い物に行ったときがあって、そのとき空に月と星が出ていたんですけど、息子が「あれっておっきいのがパパで、隣が僕だよね。親子星だね」って言ってきたんですよ。そこから「桃色の空 スプーンで食べてよ」や「虫が湧いた」とか息子から出てきた言葉を拾い集めて作った曲です。
――ソロ名義では13年ぶりのアルバムで、その間に3人の子どもを育てる父親になったわけですが、彼らが成長することで父親として、アーティストとして変化した点はありますか?