――人類とは旅する動物である――あの著名人を生み出したファミリーツリーの紆余曲折、ホモ・サピエンスのクレイジージャーニーを追う!
クインシー・ジョーンズ
(絵/濱口健)2024年11月3日、91歳で没。生涯で結婚は4回、5人の女性との間に7人の子がいる。2パック曲をプロデュースしたQDIII、本文で挙げたキダーダ&ラシーダの姉妹が有名。ナスターシャ・キンスキーとの娘ケニヤはモデルとして活躍中。
想像を絶するルーズさ……という理由で自身の所得申告漏れを説明したのはチュートリアルの片割れだったか。同様に、交通違反罰金の滞納が積もり積もって収監されるほど金銭にルーズだったのに、インタースコープ・レコーズのジミー・アイオヴィンに鍛えられてから鋭いビジネス感覚を持つに至ったのはドクター・ドレーだ。
こんなことを書いている理由は、「ルーズな金銭感覚の人も機会さえあれば変われる」から。それを誰よりも証明しているのがクインシー・ジョーンズである。金勘定を軽んじていた20代後半に異国で直面した大惨事が彼を変えたのだ。その事件がなかったら、彼は音楽史に名を残すプロデューサーとなり得たかどうか。
クインシー・ディライト・ジョーンズ・ジュニアは1933年にシカゴで生まれた。父はセミプロの野球選手兼大工、母は銀行職員だった。だが、その母が心を病んで精神科病院入りし、両親は離婚。父は再婚し、ジョーンズ家は継母の連れ子&あとで生まれた妹と弟も含む大家族化してゆく。