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第1特集
余命宣告受けた男がつづる渾身の“遺言”

森永卓郎はなぜ干された?「どうせ死ぬなら」と挑んだ 3つのタブー破り

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経済アナリストの森永卓郎は現在、大手メディアから干されている。昨年、余命宣告を受けて以降、“あるタブー”を著書で告発し続けているからだ。一方、それに抗うかのように、ラジオやYouTubeではさらにラディカルな発言を繰り広げ、ネットニュースになることもしばしば。そんな森永氏を直撃し、決死の覚悟で続ける執筆活動への動機やその中身を聞いた。

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(写真は本人提供)

今も精力的に書籍の執筆活動に勤しむ森永氏。11月時点で「あと12冊、これから書かないといけない」と明るく話す。「執筆時はアドレナリンが出るので免疫力が高まる。それが余命を伸ばしている理由だと思っている」とも


昨年末、ステージ4のがんを患っていることを公表した、経済アナリストの森永卓郎。あれから1年、「本当のことを書いてから死のう」と決心し、医師による4カ月の余命宣告を乗り越えて、血気盛んに日本社会のタブーを暴き続けている。財務省のタブーを記した『ザイム真理教』①は20万部、日航機墜落事故やジャニーズのタブーを告発する『書いてはいけない』②は30万部のベストセラーとなった。

しかし、そんな「遺言」のような書籍の大ヒットにもかかわらず、著者インタビューや書評が大手メディアに取り上げられることはほとんどない。森永による渾身の遺言は、あたかも「なかったこと」として黙殺されている状況だ。いったい彼の身に何が起こっているのか……?

30万部のベストセラーが黙殺される異常

――昨年末期がんを宣告されてから現在に至るまでも、精力的にさまざまな著作の執筆を続けていますね。

森永卓郎(以下、森永)昨年出した『ザイム真理教』は、財務省の内側について書いています。その「カルト的」とも言うべき財政緊縮主義(景気の過熱を抑えるために、財政当局が支出の削減や増税などにより総需要を引き下げる政策のこと)が誤っていることはまともな経済学者ならば誰もが知っていることですが、一般人には十分に認知されていない。というのも、このような本を書いて財務省と戦うことは、書き手にとってものすごくリスクが高いんです。財務省を敵に回した途端に、税務調査が入ったり、逮捕されたり、スラップ訴訟に巻き込まれたり……。例えば、財務省の言いなりになって消費増税を決定した当時の野田佳彦総理を徹底的に批判した東京新聞は、半年以上にわたる長期の税務調査を受けた結果、2億8600万円の申告漏れを指摘されているほか、消費増税に反対した朝日新聞も億単位の申告漏れを指摘されています。また、103万円の壁を突破するために基礎控除を引き上げようとする国民民主党の玉木雄一郎代表が、不倫スキャンダルを報道されましたよね。これも財務省による圧力の一端でしょう。私自身も、昨年『ザイム真理教』を出した直後、案の定、テレビの情報番組や報道番組のレギュラーはすべて降ろされました。

――まさにタブーに触れたために、メディアから追放処分を受けてしまった、と。また『書いてはいけない』では、財務省に加えて、ジャニーズの性加害や日航機墜落事故についてのタブーにも迫っています。ここでもやはり、圧力を受けたのでしょうか?

森永卓郎が遺したい日本人必読の書

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①『ザイム真理教』
森永卓郎/フォレスト出版/23年
「ザイム真理教」と揶揄される財務省の真実に迫った1冊。かつて大蔵省(現・財務省)に絶対服従の立場にあった森永が、同省がどのようにして国民生活を破壊していったのかを記している。


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②『書いてはいけない』
森永卓郎/フォレスト出版/24年
25年以上メディアで仕事をしてきた森永が、触れてはいけないタブーについて記した本書。ジャニーズの性加害問題、財務省の財政緊縮主義、日航機墜落事故について、真っ向からメスを入れる。


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③『親子ゼニ問答』
森永卓郎、森永康平/角川新書/19年
森永卓郎の息子で金融アナリストの長男・康平との共著。金融教育について、それぞれの立場から記している。康平は、子ども向け金融教育を主業とする株式会社マネネを設立した。


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④『さらば財務省!』
高橋洋一/講談社/08年
元財務官僚の高橋が、財務省・霞が関の支配構造や、総理官邸にはびこる霞が関のスパイの実態を暴く。本書で「山本七平賞」を受賞も翌年、窃盗容疑で書類送検。国策捜査との声も上がっている。


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⑤『日航123便墜落事件 隠された遺体』
青山透子/河出書房新社/24年
元日本航空客室乗務員の青山透子による最新作。JALに対してボイスレコーダーとフライトレコーダーの情報開示を求めた裁判が、最高裁で棄却されるまでを描いている。


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⑥『リーマンの牢獄』
齋藤栄功/講談社/24年
リーマン・ブラザーズの日本法人から371億円を詐取し、リーマン・ショックの引き金を引いた齋藤栄功による告白録。「自慢げにべらべらと喋っていて、盗人猛々しいけど、抜群のリアリティ」(森永氏)


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⑦『光と影のTSMC誘致』
深田萌絵/かや書房/23年
台湾積体電路製造(TSMC)が高い利益率を確保するために環境を汚染してきた実態を描く。日本政府は、TSMCの熊本工場開設に、最大1.2兆円の補助金支出を発表した。


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(書影撮影/増永彩子)

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