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「マル激 TALK ON DEMAND」【187】

人口減少社会を豊かに“デザイン”していく方法

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――ビデオジャーナリストと社会学者が紡ぐ、ネットの新境地

[今月のゲスト]

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筧裕介(かけい・ゆうすけ)
[NPO法人issue+design代表、慶應義塾大学大学院特任教授]

1975年、福井県生まれ。98年、一橋大学社会学部卒業。2011年、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。98年、博報堂入社。08年、ソーシャルデザインプロジェクトissue+designを開始。15年、NPO法人issue+designを設立し、理事長に就任。著書に『人口減少×デザイン』(英治出版)など。


岸田首相が総裁選不出馬を表明したことで、9月末には新しい政権が誕生することとなった。ただ、誰がなっても日本が大きく変わりそうもないことを国民は見透かしているのか、総裁選への関心は高くないように見える。日本の未来像をデザインできる政治家はいるのだろうか? また人口減少局面にある日本の未来をどうデザインしていけばいいのだろうか?

神保 8月14日、岸田首相が突然、退陣表明をしました。そのため日本の総理大臣が9月末に代わることになります。米大統領選挙が11月にありますが、日本の首相はそれよりも早く代わることが決まりました。

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自民党総裁選不出馬を表明した岸田文雄首相。(写真/Getty Images)

宮台 アメリカは天下分け目の決戦ですが、日本の総裁がどう代わろうが、お祭りにもなり得ません。テレビの露出頻度も米大統領選挙についての情報が多いという印象です。

神保 結局、誰が総理大臣になっても政策や路線が変わらないのであれば、国民は自民党の総裁選を自分事として興味を持てないのは当然です。これだけ政治不信が高まっているにもかかわらず、自民党は相変わらず同じようなことを続けていくのか、あるいはさすがに新しい動きが出てくるのか。そのあたりを見極めなければなりません。
 さて今回は、NPO法人issue+design代表で、慶應義塾大学大学院特任教授の筧裕介さんをゲストにお呼びしました。筧さんはこれまで約20の地域で課題解決のためのプロジェクトをされてきた、コミュニティデザインの専門家です。今、自民党の総裁選でも、これからの日本をどうデザインしていくかが問われていると思いますので、コミュニティデザイナーという立場から、今の政治の状況をどう見ているかをうかがっていきたいと思います。

 国の大きな仕組みが、変わる気がまったくしていません。それに比べると、人口3000人の島や1万5000人の町などで力のある首長が登場し、何人かの非常に意欲的な若者がその町に入って〝なにか〟を5年10年続ければ、地域のシステムは劇的に変わる。そういう意味では、地方自治体には可能性があると思います。

宮台 僕が担当する大学のゼミからも地域おこし協力隊に入る人がいて、いろいろなモニタリングができるのですが、基本的に中央行政に関わる既得権益からほとんど完全に切り離された状態であるがゆえに、既得権益をベースとする人の力が弱くなった場所があります。皮肉なことですが、中央から見放された場所だから自由なことができるようになり、それが実績につながっている。したがって、筧さんは本当に素晴らしいことをやっておられると思います。

神保 筧さんは高知県佐川町、群馬県前橋市、岐阜県郡上市/御嵩町、和歌山県新宮市などでプロジェクトに携わってこられました。実際には、どういったことをされたのですか。

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