これまでグラビアアイドルをめぐるビジネスといえば、①雑誌のグラビアページに登場 ②写真集やDVDで人気に③バラエティやドラマ、CMに出演……というステップアップが主流だった。だが近年は「撮影会」の存在感の拡大やSNS文化の浸透で、グラドルの稼ぎ方やスターへのステップアップも変化したという。その新潮流を大手撮影会の仕掛け人に聞いた。
「フレッシュ撮影会」とは……
アイドルやモデルを楽しく撮影する撮影会イベント。週末に公園で開催するイベント「ダイサツ」、雑誌やテレビなどとコラボして行う「キカク」などさまざまなジャンルの撮影会も企画している。
(写真提供/フレッシュ撮影会)
2023年には埼玉県営プールでのイベント中止騒動もニュースになった、グラビアアイドルらが出演する水着撮影会。「施設利用にふさわしくない」という理由で、使用条件に違反のない団体にまで中止要請が出され、後に要請撤回や謝罪が行われたことも話題を呼んだが、こうしたイベントが一般化していることに新鮮な驚きを感じた読者も多いだろう。
実際のところ、近年はプール等で行われる撮影会が増加し、参加するグラビアアイドルのビジネスも変わってきているという。そこで今回は、所属モデル数が業界最大クラスの撮影会「フレッシュ撮影会」のイベント事業責任者・植田章太郎氏に、グラビアアイドルのビジネスの新潮流を聞いた。
(写真/宇佐美亮)
――撮影会を運営する立場から見て、近年のグラビアアイドルのビジネスに変化を感じますか?
植田章太郎(以下、植田) 変わった部分もありますが、昔と変わらない部分も多いですね。例えば、雑誌のグラビアで知名度と人気を上げて写真集やDVDをリリースし、テレビやCMに活躍の場を広げていくグラビアアイドルは、今もいます。最近人気の菊地姫奈さんや沢口愛華さんなどは、そうやって人気を高めて演技の仕事にシフトしつつあるように見えます。
――グラドルたちが活躍してきた旧来のメディアの重要性は、今も変わっていない。
植田 そうですね。近年はAKB48や乃木坂46のようなアイドルが、10代のうちからファンを増やすのが当たり前の時代になりました。そんな中でも、女性がアイドルとして知名度や人気を得るのは水着でグラビアを飾ることだと思います。また最近はTikTokなどのSNSで何十万人もフォロワーを獲得してから事務所に所属する女の子も多い。そうした女の子が水着で雑誌に出ることにも大きな意義があります。
――どのような意義があるのでしょうか?
植田 例えばTikTokで30万人のフォロワーがいる女の子も、実はまだ“タレント力“は小さい。TikTokで彼女を見ている人たちは「カワイイな」とは思っていても、彼女らが登場するイベントに来たり物販を買ったりしてくれる熱心なファンは少ないんです。それが雑誌など登場するようになると、TikTokの頃は「自分と目線の近いカワイイ女の子」だったのが、急に手の届かない憧れの存在になり、イベントなどで多くのお客さんを集められるようになります。なので、女の子をプロデュースする一環として、雑誌グラビアを利用している事務所も多い。インフルエンサーやファッションモデルが多数所属する事務所で、TikTokで人気の女の子の育成に定評のある事務所でも、雑誌のグラビアは積極的に活用しています。
――以前のグラビアアイドルにとって、一般の雑誌とは発行部数が桁違いのマンガ誌のグラビアを飾ることは一種のステータスでした。そこを最初の目標に芸能界での活躍を目指す人が多かったと思います。
植田 そこはわかりやすく変わりましたね。最近の10代、20代前半の女の子と撮影会出演に向けた面談をすると、将来の目標として「自分のカラコンを出したい」って言うんです(笑)。おそらく日常で目にする情報がテレビや雑誌から、TikTokやX、インスタグラムなどのSNSとなり、憧れの有名人が「テレビで活躍する人」から「SNSで自己プロデュースした何かを売っている人」に変わったからだと思います。実際、憧れの存在としてインフルエンサーやモデルとしても活躍しており、カラコンのプロデュースもしているなえなのさんを挙げる子も本当に多い。