サイゾーpremium  > 特集  > エンタメ  > サイゾー推し次世代ラッパー【MEZZ】

――固形の形を持たない「水」。円形の容器に入れば円くなり、三角の器に収まれば姿も扇状に。移り変わりの早いヒップホップ・シーンにおいて、固定の枠に収まらない水のように千変万化するアーティストが、MEZZだ。

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(写真/西村 満)

音楽の目覚め

MEZZ 音楽が大好きな父親の影響もあって、高校1年で目覚めました。きっかけは学校の文化祭で、学内のバンドを見てギターボーカルに憧れ、女の子4人組でコピーバンドを始めたんです。最初は文化祭のためのバンド結成だったんですけど、メンバー全員がのめり込んじゃって、いつしかライブハウスでパフォーマンスするのを目指し始めたんですね。ジャンルはメタルコアやハードロックのラウドミュージック。日本でもSiMやマキシマム ザ ホルモンとかのミクスチャーが流行ってて、その派生でラップメタルも聴くようになり、ラップの面白さに気づくんですよね。

18歳になるまではそういったジャンルの音楽ばかり聴いていたので、ヒップホップにはほとんど触れてこなかったんですけど、当時『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)がめちゃくちゃ盛り上がっていて、かつバンドが解散することになってしまって、そこからソロでラップと歌にシフトした形です。影響を受けたアーティストは、間違いなくレイジ(アゲインスト・ザ・マシーン)。日本だと漢(a.k.a. GAMI)さんやMSC、韻踏合組合とか男気あふれるヒップホップばかり聴いていました。ハードコアバンドの先輩たちから教わるヒップホップは、だいたい男気系でした。

バンド時代

MEZZ ハードコア界隈はバンドもお客さんも男社会。高校時代に学校の制服でライブハウスに出てたこともあるんです。新宿アンチノックとか。最初は「ガキが何やってんだ」みたいなお客さんのリアクションも、だんだん受け入れてもらえるようになった。でも、叫ぶような歌い方とか男言葉を多用した歌詞とかが逆に「私たちらしくない」みたいな感覚になってきて。そこからハードコア少女バンドはガーリー路線に方向転換したんですけど、それが結構ハードコアバンド界隈でバズったんです。でも、方向性が定まったところでメンバーと収拾の付かないケンカをしてしまい、解散しました。それからしばらくは音楽をやるのも聴くのも放棄。バンドで成功していたかもしれないのに……っていう未練だけがのしかかってくる日々でした。

心酔していくラップ

MEZZ 未練を残したままぷらぷら過ごしているうちにコロナ禍になり、その頃に付き合っていた彼氏がバンドマンで、曲も作ってたんですね。その彼はトラックも作っていたんで、「どうせヒマなんだし、歌のせてみてよ」って遊び感覚でラップしてたら、「あれ……意外とよくない?」みたいな感じになって、サンクラ(SoundCloud)に曲をアップしたり。その後、彼氏の友達の「ヒップホップお兄ちゃん」ことビートメイカーのダビバニ(dubby bunny)さんを紹介してもらうことになるんですが、「このトラックでラップしてみて」と言われて出来上がった曲が「Gyal Drill」だったんです。

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