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【PSYCHIC FEVER】JIMMYとWEESAが語る“熱”を起こす変幻自在性

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朝の情報番組や昼時のラジオ、ゴールデンタイムの音楽番組、そして深夜のTikTokまで――。巷を騒がすPSYCHIC FEVERからJIMMYとWEESAを招聘し、世界的バズの真相に迫ってみた。

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(写真/森川英里)

2022年に本格デビューを果たし、いま世界を騒がせている日本発の7人組ボーイズグループ〈PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE〉。多様なバックグラウンドを持つ彼らの楽曲「Just Like Dat feat. JP THE WAVY」が世界各国でバズを生み、Spotifyではすでに8カ国のバイラルチャートにランクイン。MVの再生回数は1300万回を突破し、「THE FIRST TAKE」や民放のテレビ番組への出演など、まさに破竹の快進撃を続けている。そんな彼らはどのようなバックグラウンドを生かし、どのようにバズを作り上げることができたのか? 制作におけるスタイルや環境を探るべく、同グループからJIMMYとWEESAがインタビューに応じてくれた。

――PSYCHIC FEVERの結成に至るまでのお話をうかがえますか? もともと幼少期から音楽に多く触れていた?

WEESA 家にテレビがなくて音楽がかかっていることが多かったんです。楽器もめちゃくちゃあって。LDHに入る前から、お母さんの影響で洋楽が大好きで、一番最初に連れていってもらったのは、ボブ・ディランのライブ。幼稚園のときのクリスマスプレゼントでiPodをもらったんですけど、その中にレイ・チャールズやボブ・マーリー、レッド・ホット・チリ・ペッパーズとかの曲が入っていて。その次にiPadをもらったんですけど、録音機能を使って、わけもわからず自分の声で録音を重ねて、どんどん曲を作っていたみたいです。その後、お母さんからジャズピアノのようなものを教わって、「弾くだけじゃ楽しくないから、歌ってみたら」と言われ、歌も好きになっていったんですよね。

JIMMY 僕はお父さんがナイジェリア人でブラックのミックスなんですけど、お母さんがTLCやアッシャーといったR&Bアーティストが大好きで、お父さんはニュー・エディションやボーイズIIメンみたいなコーラスグループ、あとは打楽器系のナイジェリアン・ミュージックなどの音楽に囲まれて育ちました。

――そうして、それぞれがEXPG(LDHが運営するダンススクール)に入所するわけですよね。

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(写真/森川英里)

JIMMY お母さんにEXILEのライブに連れていってもらって、「アーティストになるってこういうことなんだ」と憧れの対象になった。僕もWEESAも名古屋出身なので、EXPGの名古屋校に通っていたんです。

WEESA 僕はもともとエイベックスのスクールに通っていて、エイベックスとLDHによる合同オーディションで合格してアメリカに行く予定だったんですが、まだ若すぎてビザが下りなかったんです。その時に「EXPGで修行しないか」という提案をいただいて通うようになりました。

JIMMY EXPGは本当に学校みたいな感じで、ダンスやボーカルのレッスンと同時に、礼儀やあいさつもかなり教えてもらいました。レッスンの一環で今市隆二さんや登坂広臣さんのステージにダンサーとして立たせてもらい経験を積む。僕はもちろん、メンバーの剣や中西椋雅たちもそうやってリアルな現場を経験させてもらっていました。

――初めて自分がパフォーマー側になって、デカいステージに立ったときはどんな気持ちでしたか?

JIMMY 「ずっとこれがやりたかったんだ」って改めて感じましたね。緊張もしていたけど、快感の気持ちのほうが勝った感じ。すごく新鮮な感覚でしたし、「ずっと続けていたい」と思えた瞬間でした。

――PSYCHIC FEVERがメジャーデビューを果たしたのは2022年の7月。その直後、タイでの武者修行がスタートします。

WEESA デビュー1カ月後からタイで半年間活動したんですが、最初はわけもわからなくて(笑)。

JIMMY 海外で挑戦したい気持ちが強かったので、めちゃめちゃうれしかったんですけど、タイの音楽事情とかもまったく知らない状態で。でも、実際に行ってみたら刺激的だったし、本当にすごかったです。

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(写真/森川英里)

――現地で一番衝撃を受けたものは?

WEESA とにかくみんな音楽が好きなんだなって。毎週のようにフェスが開催されているし、去年は『Rolling Loud』(マイアミ発祥の世界最大規模のヒップホップ・フェス)もあって。各フェスの来場者数も多いし、お客さんもめちゃめちゃ歌うし踊るんですよ。アーティストの人たちも、僕らより年下の子たちがガンガンかましてすごい自信満々なんですよ。ヒップホップ・カルチャーも強く根付いているので、そういったところも純粋にすごいなと思いました。

JIMMY 実際にフェスのステージにも立たせてもらった経験をきっかけに、僕らもライブ・パフォーマンスのスタイルを変えたんです。テンポよく曲をつなげてパフォーマンスしていき、1曲のイントロを延ばしてお客さんをブチ上げハンズアップさせてから歌い始める、とか。

――そして、PSYCHIC FEVERといえば「Just Like Dat」が世界レベルで大ヒット中です。TikTokの総再生回数は2億回に迫る勢いで。

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JIMMY(ジミー)
2000年2月26日、愛知県生まれ(WEESAと同じ誕生日&出身地)。ナイジェリア人の父と日本人の母を持つミックス。母親と足を運んだEXILEのツアーが引き金となり、10歳でEXPG名古屋校に入校する。PSYCHIC FEVERではラップを担当。

JIMMY 「Just Like Dat」を初めてパフォーマンスしたのは、滋賀県のイベントだったんですよ。その時、まだ情報もほとんど出ていない状態だったからお客さんの反応を見て「あれ、大丈夫かな……」と思って。でも、どんどんSNSで盛り上がっていって、その後にパフォーマンスしたときの盛り上がり方は凄まじかったですね。「ひとつの曲がいろんな人に知れ渡って熱狂を生んでいくっていうのは、こういう感じなんだ」って。

WEESA 先日シンガポールのライブで歌ったときは、オーディエンスの歓声がイヤモニを突き抜けて聞こえて興奮しましたし、ヤバすぎて本当にステージから飛び降りようかと思ったくらいです(笑)。

JIMMY 初めてのシンガポールでのパフォーマンスだったんですけど、WAVYくんのパートも、観客がみんな日本語でラップするんですよ。

――今や、国や言語を問わず「Just Like Dat」のリアクション動画やMVの完コピ動画が出回っていますよね。ご自身たちが考えるヒットの要因は?

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WEESA(イーサ)
2004年2月26日、愛知県生まれ。モロッコ人の父と韓国人の母を持つ。幼少期から音楽環境に恵まれ、2013年に開催されたLDHとエイベックスの共同オーディションに参加したことをきっかけに、2014年に7歳でEXPG名古屋校に入校。PSYCHIC FEVERメンバーの最年少でもある。(写真/森川英里)

WEESA メンバーそれぞれの個性は、結構関係しているんじゃないかと思います。

JIMMY 僕にはナイジェリアの血が入っているし、WEESAにはモロッコや韓国の血が入っている。みんな声もバラバラだし、「ボーイズグループにこんな連中がいるんだ」みたいな驚きもあって、世界の人が注目してくれたのかな……?

――最初のバイラルになったきっかけのひとつに、JIMMYさんのパートを切り抜いた動画がありましたよね。

JIMMY 「日本のボーイズグループにブラックのミックスがいて、ラップをカマしてんぞ!?」みたいな反応があったみたいですね。あと、「メンバーにカウボーイがいる」っていう……私服もずっとカウボーイ姿の剣ってメンバーのことなんですけど(笑)。そうやっていろんな角度から好きになってもらえるチャンスを持っているのがPSYCHIC FEVERなのかなって。リアクション動画やコメントには僕たちも目を通していて、自分たちのLINEグループで話題にあげてシェアしています。いい刺激になりますね。

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