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第1特集
「コンプライアンス」時代に怪しげな言説を垂れ流す

関暁夫「都市伝説」はもはや陰謀論!? 『やりすぎ都市伝説』が続く理由

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――コンプライアンスが強化された時代にもかかわらず、「信じるか信じないかはあなた次第です」でおなじみの『やりすぎ都市伝説』は、根強い人気を誇っている。時には、都市伝説というよりも陰謀論に近い、怪しい言説が放送されることもあるが、それでも同番組が支持されている理由とは? 新進気鋭の怪事解明ライターがひもといていく。

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関暁夫によって世間でも一般化した「秘密結社・フリーメーソン」。(写真:Artur Widak/NurPhoto via Getty Images)

いまだに関暁夫の都市伝説が人気である。彼が都市伝説テラーを務める『やりすぎ都市伝説』(テレビ東京系)は2007年から18年目となる今年まで、毎年途切れることなくゴールデンタイムの2時間特番が放送され続け、昨年1月31日に行われた武道館ライブの2045席は即完売、同年11月16日に行われた配信イベントにも1万8000人以上が集まった。同じく昨年11月に行われたテレビ東京社長の石川一郎氏による定例会見でもこの番組は「看板番組」として紹介されており、今や局側からも特別な扱いを受けている。

『やりすぎ都市伝説』という番組名は、その発端がもともと別番組のいちコーナーにあったことの名残だ。そのルーツは05年から同局で放送されていたバラエティ番組『やりすぎコージー』にある。この番組には芸人が都市伝説を披露する「ウソかホントかわからない芸人都市伝説」という企画があり、視聴者から好評だったために特番化されたのが『やりすぎ都市伝説』である。初回特番の放送は07年8月17日だったが、この際の視聴率が11.8%という好成績だったことから、その後も放送されるようになった。

本体の『やりすぎコージー』は11年に終了したが、そこから生まれた『やりすぎ都市伝説』(以下、『やりすぎ』)は、不定期特番という形式ながらも現在まで生き残っている。

そして、同番組で「Mr.都市伝説」として先陣を切っていた関の都市伝説は、06年に竹書房で書籍化されて人気シリーズとなり、19年に第7巻まで発行されている。

このシリーズをたどって関の主張の変遷を確認すると、1巻では「世界同時多発テロは、アフガン侵攻やイラク戦争を起こすことによって世界に武器をアピールしたかった米国政府と、国内対立をリセットしたかったイラク政府によって仕組まれたもの」という9・11陰謀論も登場するが、「消費者金融のCMで踊っていた人達は多額債務者」「高橋名人の都市伝説」など、世間に広がる噂も多く掲載されていた。

続く08年の2巻では、早くも陰謀論用語である「新世界秩序」という言葉が飛び出し、ひとつの章が割かれている。一般的な新世界秩序陰謀論は「グローバルエリートが、人々を監視やマインドコントロールによって強力に統制する世界統一政府を樹立しようとしている」というものだが、関はそれに火星移住計画やクローン技術、マヤ暦に由来する「2012年大変動説」などを結合し「2012年に特別な遺伝子で作られたクローン人間が誕生し、やがて水没する地球から人類を宇宙へと飛び出させる救世主となる。しかしその時宇宙に飛び立てるのは優秀な遺伝子を持つ一部の人間だけであり、残りは滅びることになっている」という説を主張していた。

そして、その後の3巻、4巻では陰謀論の世界ではおなじみのイルミナティ、フリーメーソンといった秘密結社ネタや、「東日本大震災は人工地震」「ケネディ大統領暗殺はカトリック教会によるもの」「米国はロズウェルで得た技術を兵器開発に活用している」といった話が次々と飛び出すようになっていた。陰謀論を平然と主張するようになった関は、12年11月2日の『やりすぎ』で「ビル・ゲイツがワクチン普及活動に取り組んでいるのは、世界人口管理のための陰謀」という反ワクチン陰謀論を紹介。結果、マイクロソフト社からテレビ東京に協議を申し入れられている。

さらに、関の主張にはオカルト言説も多く含まれている。日本には、オカルト雑誌に記事を掲載して信者を集めていたオウム真理教が首都・東京で無差別テロを起こした苦い記憶がある。オカルト特番自体は、今でも時折放送されているにしても、「看板番組」とまで認めてしまうのは、はばかられるのが普通の感覚だろう。

ところが、関はそのハードルをやすやすと乗り越え、今の地位を築いてきた。最大の要因は、『やりすぎ』のフォーマットにあるだろう。

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