――「テレビと芸能界の関係」において、大きな存在感を発するのが人気俳優の存在だ。テレビドラマの制作本数が増加する中で、番宣などを含めてテレビで人気俳優の姿を見ることは少なくない。テレビ局のビジネスモデルの変化や芸能事務所とのかかわりなどから、現代の俳優が求められている“人気”の実像を追う。
ネットでウケる過激なドラマ出演やマルチタレント化……
データで見る、俳優のテレビ露出度
現在、具体的にテレビで求められている俳優とは誰なのか? 所属の芸能事務所と併せて、各種データを基に露出の多い俳優のラインナップを見ていく。
バラエティを圧倒する再生数>
※出典:TVerが発表する1クール毎の「総合番組再生数ランキング」を基に、2023年1〜12月放送のドラマ番組のみを抽出。再生数が多い順に構成。
2023年のTVer再生数ランキングの上位は軒並みドラマが並んでおり、バラエティ番組では10〜12月期の『水曜日のダウンタウン』(TBS)が1992万再生でトップとなっており、ドラマとの再生数の差は歴然だ。夫婦間のセックスレス問題を扱った『あなたがしてくれなくても』だけでなく、9位にランクインした『夫婦が壊れるとき』は不倫夫に復讐するヒロインが主人公で、日本テレビ深夜帯の「ドラマDEEP」枠で放送。本文でも触れている通り、センセーショナルな題材を扱ったドラマは配信で存在感を示すことも多いようだ。また、個人事務所の堺雅人やムロツヨシといった実力派俳優も主演として活躍が際立っている。
CMを彩る女優たちの事務所交々
※出典:株式会社エム・データ(各所属事務所は、編集部にて追記)
テレビCMでは、女性俳優が多くの会社で起用される傾向がある。芦田愛菜の所属するジョビィキッズはバーニングプロダクション傘下の芸能事務所。今田美桜のコンテンツ・スリーはタレントマネジメントだけでなく、アニメ『妖怪ウォッチ』や『イナズマイレブン』のプロデュースなどを行っている異色の事務所だ。小池栄子はイエローキャブ倒産後にイープロダクションを設立している。橋本環奈が所属するディスカバリー・ネクストはUSENグループの芸能事務所で、USENグループ代表・宇野康秀のホールディングカンパニー100%出資となっている。
子役・声優…マルチ化する新世代“俳優”
画像をクリックすると、拡大します。※出典:株式会社エム・データ(各所属事務所は、編集部にて追記)
『Maybe 恋が聴こえる』しかり、深夜の帯ドラマも増加。(画像は公式HPより)
出演数ランキングでは、番宣やバラエティ番組にも出演する俳優の名前が多く挙がった。女性俳優部門の和智柚葉と下村由芽は、ともに子役として子ども番組で人気を博す『シナぷしゅ』(テレビ東京)で出演数を伸ばした。『ドラえもん』ジャイアン役の声優として知られる木村昴は、人気声優・杉田智和が設立したアトミックモンキー所属。固定ファンの多く存在する人気声優はドラマやバラエティ番組でも重用されるようになっており、木村もドラマ『Maybe 恋が聴こえる』(TBS)に出演。同年は『リバーサルオーケストラ』(日本テレビ)で津田健次郎、連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合)に宮野真守といった人気声優が出演しており、SNSの反響を含めて人気声優の俳優起用は今後も続きそうだ。