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第1特集
各界の賢人が選定! 我が人生に影響を与えたこの1作!!

【渡辺志保】日常生活の中に溶け込むヒップホップカルチャー

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――たった1本の映画が人生に影響を与えた、あるいは人生を変えた、という人は少なからずいるだろう。では、各界で活躍するあの人物は、どのような作品から影響を受けたのだろうか? あらゆる業界の賢人に登場いただき、至極の1本を聞いた――。

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(写真/岩澤高雄)

音楽ライター
渡辺志保

わたなべ・しほ ヒップホップを主とした音楽ライター。国内外問わず主要アーティストのインタビューやライナーノーツなどを手がけ、ラジオ番組や司会業など活動は多岐に渡る。


大きな影響を受けた映画と聞いてまず初めに思い浮かぶのは、『天使にラブ・ソングを2』ですね。日本での公開は1993年で、私が9歳のとき。作品そのものをリアルタイムで観たわけではないのですが、当時、街中に飾られた大きなビルボードや、続編公開を記念してオンエアされたであろう「金曜ロードショー」で観た前作「天使にラブ・ソングを…」(92)の断片的な映像が今も頭の中に色濃く残っています。

実際に本編を観たのは、確か中学生になってから。なんといってもローリン・ヒル演じるリタが魅力的すぎて。そして、ちょうどアメリカでもメインストリームになり始めたヒップホップ/ラップ音楽と、高校生たちの青春劇をクロスオーバーさせて物語が展開していく様子はとても刺激的でした。手拍子をしながらみんなでフリースタイルをするシーン、そして最後のコンクールのシーンは何度繰り返し観たかわかりません。「映画の中で描かれている彼らの生活には、ヒップホップやラップが日常的に取り込まれているんだ!」と衝撃を受けたことを覚えています。

私自身、当時はヒップホップカルチャーに興味を持ち始めた頃だったのですが、今と違ってインターネットでゲットできる情報も限られていたし、CDのアートワークや雑誌のポートレイトといった限られたイメージを頼りに、ヒップホップとはどんなものなのか、アメリカではどのように受容されているのかと、想像力を働かせながら憧れの気持ちを膨らませていたのです。『天使にラブ・ソングを2』は、そんな私の憧憬の念をさらに膨らませた作品です。

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