ーーダンス&ボーカルグループ「超新星」からソロに転向したユン・ソンモ。日本人が勘違いしがちな韓国の兵役について教えてくれた。
(写真/増永彩子)
韓国映画からは犯罪サスペンスの傑作が次々と生み出されているが、韓流スターを起用した日本発の本格的アジアンノワールが公開される。「超新星」のメインボーカルだったソンモこと、ユン・ソンモが主演した『ランサム』がそれだ。
北野武監督のデビュー作『その男、凶暴につき』(89年)などを手がけた奥山和由プロデューサーと、ガンアクション映画『SCORE/スコア』(95年)の室賀厚監督との久々のタッグ作。裏社会の大物・金山(小沢仁志)に恨みを持つ5人の男たちが集まり、金山の愛娘・由美(吉田玲)を誘拐し、身代金1億円を要求する。さまざまな思惑が交錯し、身代金の行方は二転三転するというストーリーだ。
誘拐犯の一員である元ハングル教師役で、日本映画に初めて本格主演したユン・ソンモが、韓国と日本との映画のスタイルの違いなどを語ってくれた。
「映画には何本か出演しましたが、今回のようなハードなアクションは初めてです。ビザの関係で僕は2週間しか日本に滞在できなかったんですが、限られた日数でこれだけのアクション映画を撮れるなんて、すごいと感動しました。奇跡のような作品です」
日本語でのやりとりには問題がないソンモだが、映画の脚本は撮影当日に読むことになったそうだ。作品の細かい内容を知らないまま撮影に挑んだ度胸のよさに驚かさられる。
「今回の映画は予算が限られていると聞き、脚本をハングルに訳するのはお金がかかるので、『(翻訳せずに)大丈夫です』と返事をしたんです。キャラクターについては事前のリモート打ち合わせで理解していましたが、台詞は撮影当日に日本のマネージャーさんに脚本を読んでもらって耳で覚えました。ものすごい集中力で撮影本番に挑みました」