サイゾーpremium  > インタビュー  > 【tha BOSS】SPECIAL INTERVIEW
インタビュー
止まらぬ衝動と沸き立つ熱意

諍いを収めグッドヴァイブスに tha BOSSが辿り着いた新境地

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――国内のヒップホップシーンで確固たる地位を築き上げ、唯一無二の存在として活動を続けるTHA BLUE HERBのMC・ILL-BOSSTINO。彼のソロプロジェクトである〈tha BOSS〉名義での2作目『IN THE NAME OF HIPHOP II』が発売となり、本誌ではさまざまな角度から作品性と彼の人間性に迫る。

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(写真/cherry chill will.)

2枚組で30曲収録というボリュームとなったTHA BLUE HERBの5thアルバム『THA BLUE HERB』(2019年)、さらにdj honda×ill-bosstino名義でのアルバム『KINGS CROSS』(21年)と立て続けに大作を発表してきたILL-BOSSTINOが、7年半ぶりに再び〈tha BOSS〉名義で2ndソロアルバム『IN THE NAME OF HIPHOP II』を完成させた。前作『IN THE NAME OF HIPHOP』では長年確執のあったYOU THE ROCK★との共演が大きな話題を呼んだが、今回は因縁の相手ともいえるRHYMESTERのMummy-Dがフィーチャリングで参加。両者の長年の歴史を知る人にとってはまさに奇跡の共演でもあるわけだが、日本のヒップホップ史に残る両者のビーフがどのように始まったのか、その真相についても迫ってみた。

――今回のアルバム制作の一番最初はどこから始まったのでしょうか?

tha BOSS(以下、B) 3曲目の「サウイフモノニワタシハナリタイ」からだね。このビートを作ったINGENIOUS DJ MAKINOは俺のひとつ上の先輩で、北九州のビートメイカー。前作でも2曲一緒にやってて、それ以降もずっとトラックを送り続けてくれてるんですよ、「これBOSSに合うと思うよ」みたいな感じで。しかもこれは元ネタの曲がめっちゃ好きだったからアガったよね。それが2019年かな。それからすぐにリリックを書いてレコーディングして……ある意味、このトラックが俺をもう一度、ソロアルバムに向けさせてくれた感じですね。

――今回も前作同様にいろんなトラックメイカーが参加していますが、どのように選んでいったのですか? 自ら声をかけたのか、それともトラックメイカー側からアプローチがあったのか?

B 全員自分で声をかけました。金沢に行けばCARRECに会うし、北九州に行けばINGENIOUS DJ MAKINOに会うみたいな流れで、ヒップホップの旅をしてると、その土地で出会う人がたくさんいる。BLくん(BACHLOGIC)はZORNとの仕事で会って、終わってから一緒にお酒飲んで「次、俺とお願いします」って話になったしね。ほとんどがみんな友達ではあるけど、中には後半になってスタッフから「このトラックメイカーどうですか?」っていろいろ推薦してもらった中から%Cくん(TOSHIKI HAYASHI(%C))とか紹介してもらって連絡を取った人もいる。

――今作のトラックのイメージですが、前作とはちょっと違うムードを感じていて。前作はどちらかというとハードな感じがあり、今回はもっとメロディアスというか。特にBACHLOGICが手がけた2曲(「THAT'S WHEN」「LETTER 4 BETTER」)もそうだし、DJ WATARAIもDJ CELORYも含めてベテラン勢のトラックがそういう印象がすごく強い。選んだトラックがそういう方向性になったのは何か理由はありますか?

B 同時期にhondaさんとアルバムを作ってたのもあると思う。あの人も最高にメロディアスだし、メロウだし、ソウルフルなんだけど、誰よりもビートがハードだから。しかも大先輩だし、ちょっとでも引いたらすべてを持ってかれちゃうようなすごい人だから、俺もすごい気張るしね。そうやって一対一で対峙していたから、hondaさんのスタジオが終わって、その翌日に例えばWATARAIくんから送られてきたビートで別のスタジオで録るとなると、ちょっと違う感じのを選ぶっていうかね。自然にそんなふうに分かれていったのかなって。

――フィーチャリングのラッパーに関しても聞きたいんですが、まずJEVAが参加している「STARS」が個人的にめちゃくちゃ好きで、ほかのラッパーに比べるとなじみがないということもあり新鮮味があったんですが、彼を起用した経緯を教えてください。

B JEVAの「イオン」っていう5年くらい前に出た曲があって、当時からすごい好きだったんだよね。俺もJEVAと同じような環境で生まれ育ってるし、、共感することが多かった。ラップのスキルもあるし、ユニークで人としても面白い。2019年に名古屋でライブをやったときにオーガナイザーに「JEVAを自分たちの前に入れてほしい」って頼んでつながったんだよ。ライブが終わってみんなで朝まで遊んで、それっきりだったんだけど、2年後ぐらいに「曲作ろうよ」って連絡してね。

――リリックから彼の生活が見えるし、どんな人柄なのかも伝わってきて。

B パーソナルなところを全部さらけ出してて、飾ってない感じがいいよね。あとLIBROのトラックともバッチリはまったね。

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