――2018年2月号に掲載し、局地的な話題を呼んだ業界人たちの匿名座談会が老害力マシマシで帰ってきた! 集英社、講談社、小学館、KADOKAWAの内部事情から、ウェブトゥーンの死屍累々まで、実名ではとても語ることのできない、キケンでマヌケな噂話を証言してもらおう。
[座談会参加者]
A…元・マンガ誌編集長(50代)
B…マンガ家(50代)
C…ウェブコミック系編集者(40代)
Z…ホビー誌ライター(20代)
Z 5年ぶりのマンガ業界のゴシップ座談会らしいんですが、前任者が失踪したので、代わりに司会を務めます。
A その間に私は現場を外れて定年退職直前だよ。Bくんは仕事が増えたけど。
B ああ、『転生したらスライムだった件』(講談社)とか、小説コミカライズのヒット作がいくつか出たので、そっちの需要が増えましたね。おかげでまだなんとか現役ですよ。
C この5年でデジタルへの移行が進んで、ウェブコミックに参入する中小の版元も増えたからね。紙媒体はいよいよ壊滅しそうだけど。
Z 最大手の集英社……というか「週刊少年ジャンプ」は「ジャンプ+」も含めて、相変わらず好調ですけど……?
C 「ジャンプ+」が好調すぎて、本誌との関係がキナ臭くなってきたね。
A キナ臭いというか、キャラクタービジネスが多角化しすぎて上層部がイライラしている。常勝軍団のプレッシャーで舵取りが難しいのはわかるけど。
B アニメ化の経済効果が大きくなりすぎて、ワーナー・ブラザースやテレビ東京が、エース編集者の[D]個人に入れ込んでいるのも不安要素かな。
C [D]さんは新人ドラフト会議参加禁止になったけど、あれだけ担当作家を抱えていて、まだ取るつもりだったのか。
休刊する「イブニング」と、「ジャンプ+」で好評配信中の『チェンソーマン』。歳を取るとスマホでマンガは読みづらい……ならば、ウェブトゥーンか?
A エース編集者はそういうものだ。新人は財産だからね。
B マンガを売るにはアニメやゲームの力を借りる必要があるけど、外部との関係が強くなりすぎると警戒されてしまうから難しい。
A 歴史は繰り返すのかな。黄金期のエース編集者だった[E]さんは取引先のアニメ会社やゲーム会社を使って社内政治資金を稼ぎ、先輩たちの派閥を追い落としたけど、社長や会長になったのは実直な[F]さんだった。
B [D]に[E]さんのような野心はないと思うけど、15年くらい前、他社でも似た構図があったね。ANIPLEXとの関係が強すぎて社内で浮いてしまった。
A ライトノベルのエース編集者だった[G]さんか。あの会社はキングレコードとの関係が強かったから、マンガと文芸の両方から嫌われてかわいそうだったな。
B 独立のどさくさに紛れて、看板作家の[H]をANIPLEXが囲い込んだのもきつかったね。独立した途端にハシゴを外されて。
A いや、あれはハシゴを外されたから独立せざるを得なかったんだ。[G]さんと[H]さんの不仲が深刻で、同じエースでも二択なら作家を選ぶしかなかった。著作権を持っているからね。
C 『仁義なき戦い』の盃外交かな?
A 黒子に徹せない編集者は結局、揚げ足を取られるんだ。