「NISHIMOTO IS THE MOUTH」なるファッションブランドが、日本のみならず海外でも注目されている。「架空のカルトクラブ」を標榜する同ブランドのディレクター・西本克利は、顔から足までタトゥーがびっしり。ぶっちゃけ、ヤバい宗教団体の危ない教祖なんかに見えなくもないが……。本人を直撃し、正体を探った。
(写真/渡部幸和)
──「架空のカルトクラブ」をテーマとしたブランド「NISHIMOTO IS THE MOUTH」。そのTシャツをラッパーのドレイクや、アーティストのトム・サックス、ファッションデザイナーの故ヴァージル・アブローといった著名人が着用して話題になりました。そんなブランドのディレクターであり、神である赤ちゃんの声を聞くことができる預言者というのが西本克利さんです。全身のタトゥーがインパクトありすぎますが、預言者としてそういうタトゥーが必要なんですか?
西本 いえ、これはブランドを立ち上げる前から入れています。14歳のときに興味本位で入れて、20代でYASさんという彫師と出会い増やしていきました。以前勤めていたvisvim(ビズビム)というブランドから「顔だけには入れるな」と言われていたんですが、入れてしまって半分クビ状態になり、NISHIMOTO IS THE MOUTHに本腰を入れるきっかけにもなりました。トライバルタトゥーに特に意味はないんですけど、僕のタトゥー哲学では体じゅう入れられるところはすべて入れたい。でも、このせいで地上波テレビはスポンサーがダメと言うので出られないんです。ブランドの認知度アップのために出たいんですが。
──確かに難しそう……。ブランドを立ち上げた経緯について教えてください。
西本 僕と画家の中村譲二さん、あるアメリカ人アーティストの3人で、2017年から内輪でTシャツを作り始めました。当時から『カルト宗教をテーマにしたら面白いんじゃないか』と話していたんですが、僕の顔を使うのは嫌で……。
NISHIMOTO IS THE MOUTHのインスタグラムより、Tシャツを着用するドレイク。
──ご自身の顔がドーンとプリントされたTシャツのことですね。
西本 最初は嫌だったけれど、2020年にブランドを正式に始めてからは、割り切って預言者になりきるというか、西本克利より預言者メインで生活しています。ストーリーとしては、信者というかブランドのファンの方々にお金をどんどん恵んでいただいて、どんどんいい生活になって、だんだん太っているという感じです。このいでたちなので、めちゃくちゃ麻原彰晃って言われるんですけど。