――「お客さんから1900円という大金をもらっているので、その分、密度の濃い体験をお返ししたい」──若手映画監督が考える実写邦画の魅力と懸念点。
(写真/斎藤大嗣)
2人の女の子の「ゆるい同棲生活」と「本格殺し屋活動」を描いた映画『ベイビーわるきゅーれ』が、池袋シネマ・ロサで8カ月にも及ぶロングラン上映を果たし、昨年末にはTOHOシネマズでも公開され、満員の中で続編制作が発表された。さらに国内にとどまらず、アメリカのオースティン・ファンタスティック映画祭にて、インターナショナルプレミアも行われるなど、インディーズのアクション映画としては異例の広がりを見せている。
今年で26歳の阪元裕吾監督はもともと、映画ファンの間ではバイオレンス映画の旗手として大学在籍中から注目の存在だった。
2018年に映画『ファミリー☆ウォーズ』の「仲がいい大家族のおじいちゃんが認知症になり、近所の子どもを車で轢き殺してしまったことで、家族総出で餅を食わせて殺そうとする」という、あらすじがツイッター上でバズり、話題になる。
「学生時代からスプラッターコメディやバイオレンス映画を撮っていたこともあり、不謹慎なことが面白いと思っていたんです。でも、その当時は別の発言でも炎上してしまったので反省し、このまま過激なことや不謹慎なことを続けていくだけでは監督としてやっていけないなと思いました。そこから、『これからは、もっと人に愛される人間にならなあかんな』と思って、キャラクターを人としてしっかり描く作品を撮り始めました」