――東谷義和氏ことガーシーやコレコレ氏といった、いわゆる“暴露系YouTuber”がネットニュースを騒がせている中で、彼らの善悪についても議論が分かれている。今やポスト・トゥルース時代を象徴するような存在となった暴露系YouTuberについて、これからのメディアのあり方やアマチュア論を研究する社会学者・飯田豊氏が考察する。
YouTubeチャンネル「東谷義和のガーシーch【芸能界の裏側】」内の動画「【必見】これがこれから晒していく男性俳優・タレントのリストになります」より。
今年2月23日に公開された本動画は320万回以上再生(4月6日時点)されており、現在、東谷氏の発言などはネットニュースでも広く取り上げられるようになっている。
暴露系YouTuberという存在がにわかに脚光を浴びている。そのきっかけは言うまでもなく、「東谷義和のガーシーch【芸能界の裏側】」である。東谷氏はもともと都内でバーやアパレルブランドなどを手がけ、芸能関係者との交流が深かったが、YouTuberのヒカル氏に詐欺行為を実名で告発されたことで失職し、周囲からの信頼も失ったという。YouTubeチャンネルの開設は今年の2月14日。交流のあった芸能人や有名人の“裏の顔”に関する暴露動画を相次いで投下し、卓越した話術も相まって、わずか1カ月半でチャンネル登録者数が98万人を突破した(4月6日現在)。たとえ動画を視聴していなくても、東谷氏の動静はネットニュースで連日詳しく報じられ、自然と目に飛び込んでくるようになった。
「暴露系」という言葉には、おのずとダーティなイメージが付きまとう。東谷氏はもともと、標的とした芸能人や有名人の「アテンド」を請け負っていて、要するに共犯関係にあったわけだから、ダーティさを売り物にするのは当然である。だが、暴露系YouTuberの生態系はそれほど単純ではない。ネットにおける「暴露」と「告発」(内部告発=公益通報を含む)は本来、線引きができない地続きの営みだからだ。
例えば、SNSでは連日、企業の理不尽な顧客対応に憤った個人が、やりとりを記録したスクリーンショットや動画などを晒している。その結果、めでたく問題の解決につながり、ひいては公益に資することもあれば、誹謗中傷(カスタマーハラスメント)の呼び水になることもある。暴露系YouTuberの活動も同様に、善悪二元論で割り切るのは難しい。