ロシアによるウクライナ侵攻の大義名分として、プーチン大統領は「ウクライナのネオナチ化」をたびたび主張している。確かに、開戦前から同国には欧州各国から極右が集まっていたというが、そんなに昨今の欧州ではオルタナ右翼などの極右勢力が台頭しているのだろうか──。
ウクライナ侵攻とは関係なしに、2021年の「コロンブス・デー」を祝うデモの最中に、ナチス式敬礼をするネオナチグループのスペイン人。(写真/Marti Segura Ramoneda via Getty Images)
2月24日から始まった、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻。どう見ても一方的な侵攻だが、ウラジーミル・プーチン大統領はウクライナ政府に「ネオナチ」のレッテルを貼り、「ネオナチによる弾圧からロシア系住民を保護しなければならない」という大義名分を掲げている。
ネオナチと言われても、さして政治に興味のない一般人は「ナチス? 21世紀にそんな人たちいるの?」と思ってしまいそうだ。しかし、海外の報道を見ているとネオナチ、あるいは白人至上主義を標榜する者、そしてそういった過激派組織によるヘイトクライムは各国で発生している。
確かに、近年は過激派とまではいかなくとも、その一歩手前ともいえる極右のポピュリズム政党が欧米諸国では人気だ。そして、トランプ元大統領の親衛隊ともいえる存在であった極右集団プラウド・ボーイズは、アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件という大事件を引き起こしている。
このように、ヘイトを掲げて大暴れする海外の集団は、どういった理由で台頭したのだろうか? 本稿では、今回のウクライナ侵攻でたびたび耳にする「ネオナチ」に注目しながら、海外の過激派集団について考えていきたい。