――ダンスフロアからの新たな刺客。DARUMAとJOMMYの画期的音楽探究。
(写真/岩澤高雄[The VOICE])
緊急事態宣言が明け、休止していたクラブイベントも再始動の準備を――と思った矢先のオミクロン株によって、我らがダルジョミ『EDGE HOUSE』の再開も延期に。そんな再始動に向けて2人が刷新したのはマインドだけじゃなく、アーティスト写真もだったんです。その撮影を担ったのが、フォトグラファーのAtsuko Tanakaさん。1990年代、ニューヨークを拠点に活動していた彼女は、心酔していたヒップホップ愛を体現すべく、写真を学び、気がつけばエミネムをはじめ、ジェイ・Zやナズ、パフ・ダディ、ア・トライブ・コールド・クエストといった数多くのアーティストをフィルムに収めてきました。今月は「先輩、マジですげえっす!」とDARUMAさんが感嘆の声を上げた、ヒップホップ黄金期にトリップする回顧録をお届けします。
JOMMY(以下、J) 僕はAtsukoさんの活動を一方的に知っていて、去年発売された写真集『SHOSHINSHOMEI -正真正銘-』(トゥーヴァージンズ)の展示会も見に行ってるんですよ。で、新しいアー写を撮影するときに、Atsukoさんにお願いしてみたい! と。
DJ DARUMA(以下、D) アーティストに限らず、いろんな分野の方々を撮影されてきてますけど、ことヒップホップに至っては僕らの青春オールスターですからね。
J ダメ元でオファーさせてもらおうと、ライターの渡辺志保さん経由で紹介していただき、ありがたいことに今回の撮影となったわけです。
Atsuko Tanaka(以下、A) こちらこそ連載にまで呼んでいただきありがとうございます。
D Atsukoさんが撮影されてきたヒップホップアーティストの写真を見て思ったんですけど、僕らが雑誌やMVでしか触れていなかったものを、直に現場で体験して、かつ被写体として接してきたわけですよね。
A そうですね。でも、今でこそ「あのアーティストを!?」って感じるかもしれませんが、当時はまだヒップホップもアングラな感じでしたし、盛り上がり方も今とちょっと違いますからね。ラッパーへ直接アプローチするにも、彼らのガードも固くなかったんで。それに今はフォトグラファーも増えましたけど、私の時代は少なかったし、カメラ付き携帯もない時代なので、いい写真を撮るにはカメラで撮る以外に方法がなかった。当然、現像するのにお金もかかりますから、そういう意味でも写真を撮ることが今より特別だったのはあると思います。
D そもそもなぜ撮りたいと?
A 単純にヒップホップが好きだったからですね。
J 印象に残ってる撮影となると?
A ウータン・クランの豪邸マンション、通称“ウー・マンション”で撮影できたのは印象的でした。
D ヤバ! ウー・マンションは当時『MTV Cribs』で見ました。そういう仕事を重ねていると、ラッパーがラッパーに紹介して撮影、みたいな流れもあったりするんですか?
A そういうこともありました。媒体を通さずに個人的に撮影を依頼されたり。