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友清哲のビールの怪人【37】

東海から市場を切り拓く“ワイマ”のさらなる野望

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――すべてのビール党に捧ぐ、読むほどに酩酊する個性豊かな紳士録。

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ビールの奥深さをさらに多くの人に伝えたい!
創業時から意識している“ワイマらしさ”とは、「重すぎず苦さが負担にならない、飲み飽きしないビール」と語るヘッドブルワーの加地真人さん。

フリークの間では「ワイマ」の通称でおなじみ、名古屋の「Y.MARKET BREWING」で創業時からヘッドブルワーを務めている加地真人さん。ワイマを全国区の人気ブランドに押し上げた立役者で、その背景にはさまざまな狙いと思惑があった。

「ありがたいことに、2014年のオープン直後から早くも生産が追いつかなくなり、その年の暮れには社長と新工場の設立を真剣に議論していました。ただし、どうせやるなら単なる醸造設備の拡充では意味がなく、新たなプロダクトの生産ラインを設けるくらいの気持ちでやるべき、というのが僕の考えでした。具体的には、缶ビール市場を取りに行こうと提案していたんです」

今でこそ缶で流通するクラフトビールは珍しくないが、当時は瓶が一般的だった。しかし、大手の製品が巨大な缶ビール市場を築いているように、クラフトビールをマスマーケットに届けるためには、缶での流通を定着させることが不可欠であると加地さんは早い時期から考えていた。

果たして、少なからぬコストを投じて、缶での大量生産体制を整えた新工場が3年前に落成。結果を見れば、市場や流通を自ら切り拓こうという加地さんの戦略は、ずばり的中している。

「なぜかビールは瓶で飲むほうが美味しいと誤解する風潮があり、どこまで市場が応えてくれるのか、正直不安もありました。今こうして、クラフトビールを缶で飲むのは当たり前になっている現状に、心底ほっとしています(笑)」

そんな加地さんがクラフトビールに出会ったのは、約20年前。語学留学の目的で渡ったカナダでのことだった。

「友人に連れて行かれたビアバーで、それまで見たこともなかった多種多様なビールを飲んで、衝撃を受けたんです。IPAはもちろん、チョコレート風味のスタウトや唐辛子を使ったエールビールなど、何もかもが目新しくて、これはきっと日本でも売れるはずだと直感しました」

カナダではホームブルーイングが盛んであったことから、加地さんは早速、機材や原材料を買い揃えて自らビール造りをスタート。やがて新しいビールが完成するたびに仲間を集めてパーティをするのが大切な趣味のひとつになり、ついには「これを一生の仕事にしたい」と真剣に考えるほどになった。

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