「奴隷労働」ともいわれる外国人労働者。だが、私たちはやりたくない仕事を外国人に押し付けているだけで、もはや日本経済にその労働力は欠かせない――。気鋭のジャーナリストが“人手不足”時代のいびつな“多文化共生”社会を描き出す。
本連載で出会った全国各地の外国人技能実習生や留学生たち。(写真/筆者)
バブル崩壊から、失われた10年が20年、30年と続く日本。実質賃金は上がらず、2015年には韓国に逆転された。賃金格差があるから、東南アジアの若者たちが日本を目指すわけで、日本人の賃金が上がらなければ、彼らも他国を目指すだろう。少子高齢化による人手不足は、なにも日本だけの問題ではない。
本連載では日本人がやりたがらず、低賃金な仕事を「外国人」まかせにする人手不足の不都合な真実を綴ってきた。悪質な受け入れ事業者を退場させ、日本に来てよかったと思う外国人をどれだけ増やせるか。番外編として、よりよい外国人の受け入れに関する議論を深めたい。
奇しくも22年度は、技能実習制度と19年に新設された特定技能の両制度が、法律施行時の附則により見直しを迎える。出入国関連法制に詳しい山脇康嗣弁護士と、ベトナム人の保護・生活支援活動を行うNPO法人「日越ともいき支援会」の吉水慈豊代表を招き、議論した。