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第1特集
ジブリで学ぶSDGs【1】

ジブリで学ぶSDGs17目標

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【目標01】貧困をなくそう
『かぐや姫の物語』
監督:高畑勲 公開年:2013年

竹の中から生まれて美しい娘へと育ったかぐや姫が都に上り、貴族や御門の求婚を受けながらもやがて月へと帰っていくストーリー。日本最古の物語ともいわれる『竹取物語』を原作とした高畑勲監督の遺作。かぐや姫の心情に焦点に当てた本作だが、その一方で、富を得たことでかぐや姫を少しでも良い家に嫁がせようとする育ての親・翁の世俗的な幸福観が際立つ。かぐや姫が贅を尽くした都での貴族たちや御門を胡乱な目で見るのに対して、山里で生きる捨丸に焦がれるのも印象的だ。都から逃げ出したかぐや姫が、自分の生家で暮らす貧困層であろう女性から施しを受けるシーンを見ると、人としての貧しさと豊かさ、富や地位、幸福とは何かまでを考えさせられる。


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【目標02】飢餓をゼロに
『火垂るの墓』
監督:高畑勲 公開年:1988年

太平洋戦争末期の神戸。空襲で親と家を失った14歳の清太と4歳の節子の兄妹は、親戚の家に一時身を寄せるも諍いが続き、2人で生きることを決意。しかし戦況の悪化と、周囲の大人との付き合いが断絶したため、必要な食料も手に入れることができなくなり、やがて二人は栄養失調で衰弱死してしまう。野坂昭如の同名小説を長編アニメ化。節子が大事に持っていたドロップ缶がトラウマになった人は多いだろう。本作で描かれる飢餓は、物資不足はもちろん、周囲から助力を受けられる環境や姿勢が欠落していた故に生じたものでもある。飢餓救済をはじめ、支援は物資を送るだけでは済まない。受け手側の状態や姿勢までを視野に入れる必要性に気づかされる。


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【目標03】すべての人に健康と福祉を
『借りぐらしのアリエッティ』
監督:米林宏昌 公開年:2010年

心臓の手術を間近に控えた12歳の少年・翔が療養のために訪れた屋敷には、小人たちが住んでいた。人間に見られたら、小人たちはその家を出ていかなくてはいけない。しかし14歳の小人の少女・アリエッティは、生来の好奇心も手伝い、翔に近づいていく。メアリー・ノートンの英国児童文学を日本を舞台にして、米村宏昌監督が長編アニメ化。個体数の少なさ故に“滅びゆく種族”である小人のアリエッティが、別れ際に髪留めを翔に渡すラストシーンが印象的。「きみはぼくの心臓の一部だ。忘れないよ、ずっと」。誰もがいつかは死ぬ以上、健康と健康でない身、福祉をする側と受ける側は表裏一体であることを示唆しているのかも。


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【目標04】質の高い教育をみんなに
『魔女の宅急便』
監督:宮崎駿 公開年:1989年

「魔女は13歳で独り立ちしなくてはいけない」という古い習わしに従い、海辺の町で宅急便業を始めた少女キキ。さまざまな依頼や少年トンボとの触れ合いを通じて、彼女の成長を描く。原作は、角野栄子氏の同名児童文学。少女の自立をテーマに掲げ、原作小説にはない、報酬としての金銭のやり取りや素っ気ない受取人など、実社会で働くことのつらさも描き込んだ。キキは13歳にして一般的な学校教育を受けずに労働に勤しむが、学校に通うトンボとその友人たちに疎外感を抱くシーンも。一種のオン・ザ・ジョブ・トレーニング的ではあるものの、教育を受けることでキキにはより多くの職業選択の自由があったようにも思える……。


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【目標05】ジェンダー平等を実現しよう
『耳をすませば』
監督:近藤喜文 公開年:1995年

作家志望の中学生・月島雫とヴァイオリン職人を夢見る同級生・天沢聖司のラブストーリー。柊あおいの同名マンガを、近藤喜文監督が長編アニメ化。原作では専業主婦という設定だった雫の母は社会人の大学院生に変更され、大学生の姉もひとり暮らしを始めるなど、女性の自立を表す描写が散見される。極めつきは、自転車の荷台に雫を乗せた聖司が独力で坂を上ろうとするのを、雫自ら荷台を降りて「お荷物だけなんてやだ!」と自転車を押すシーン。男性が庇護の対象と見ていた女性も、自身の夢を追いながら共に力を合わせて歩もうとする姿に、1985年の男女雇用機会均等法成立以降の時代の空気を感じる。



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