――クリエイティブを学び取れ! 気鋭のDTM女子による音楽道場破り
(写真/河本悠貴)
[今月のゲスト]
DJ Mitsu the Beats(DJみつ・ざ・びーつ)
1976年、北海道生まれ。96年に結成し、仙台を拠点に活躍するヒップホップ・グループ〈GAGLE〉のDJ/トラックメイカー(同グループのラッパー・HUNGERは実弟)。プロデューサーとしても世界的に活躍し、今年4年ぶりのオリジナル・アルバムが控えている。
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2022年が始まりました。今年もよろしくお願いいたします。新年一発目のゲストは、世界的に活躍されるDJ/プロデューサーのDJ Mitsu the Beatsさんにお越しいただき、濃密なお話を聞くことができました!
AmamiyaMaako(以下、A) 早速ですが、ミツさんは制作に入るとき、どこから手を付けられるタイプですか?
DJ Mitsu the Beats(以下、M) まずドラムからです。ウワモノありきでスタートするのが3割くらいで、ベースやほかの楽器からスタートするのが1割。
A まっさらの状態からですか?
M まず素材やBPMを決めてから(マシンで)打ち始めて、叩きながらグルーヴを探す感じですね。パソコン上であればキックとスネア、ハットをひとつずつ用意して、差し引きする形かな。
A ちなみにミツさんが、いま制作でハマってるものは?
M ガッツリSP-1200(E-MU)にハマってます。12秒しかサンプリングできないドラムマシンなんですけど、ザラッとした特徴的なサウンドになるんですよね。そうした粗い音に今の自分の音質を重ねると、新鮮な気持ちになれる。制作で使用する音源をSPに取り込んでからアウトするようにしてるくらいです。手間はかかるんですけど、その制限の中で曲を作るのが楽しい。しかも今はもうSPがなかなか入手できない時代で、当時は35万円前後だったのが、日本では70~80万円、海外では100万円以上の値が付いているくらいですから。
A わざと音質を劣化させるようなプラグインもありますよね。
M それとはまったく違う。SPのエミュレーターもあるんだけど、それでも再現はできない。SPに限らず、昔の機材は経年劣化だけでも音質が変わるっていう個性があって……まあ、機械としては間違っているかもしれないけど、それからしか出せない音というのが希少価値になっていくんですよね。
A 私のまったく知らない世界……。
M なんならプラグも半差しすると音が太くなって、全差しすると音が細くなる、とかもありますよ。
A そんなの試したことない!
M 一時期流行ったんですよ、海外だとピート・ロックとかDJプレミアもやってたんじゃないかな。
A すごいストリート感。
M 黒人らしい文化というか、ルーズさから生まれたものかもしれませんけどね。