ーー女性アスリートを性的に消費する問題は昔からあるものだが、昨年末にはついにJOCなどがアスリートへの盗撮を「卑劣な行為」と位置付け、それらの防止に取り組んでいくことを発表。とはいえ、抜本的な解決策はなく、さらにこうしたアスリートの「性の商品化」は複雑な問題になりつつある。
(絵/ミキタナカ)
東京五輪が開催された今年は、「女性アスリートが性的な対象として扱われていることへの抗議」に関するさまざまなアクションが起きていた。
詳細は本記事の最終ページコラムを見てほしいが、ドイツ女子体操チームがレオタードではなく、肌の露出の少ない「ユニタード」を着用したことや、ノルウェーのビーチハンドボール代表がビキニの着用を拒否したことで規定違反とみなされ、罰金を科されたことが世界中に波紋を広げるなど、これまで性的な目で見られがちだった女性アスリートのユニフォームの見直しが行われている。
さらに、メディアに対しても「美しすぎる◯◯競技選手」というような、スポーツと関係のない紹介の仕方をしないようにと、国際オリンピック委員会(IOC)がガイドラインを設けることになった。
とはいえ、国内で何か変化があったかというと、特にそうではなく、いまだに日本のスポーツ界ではプロアマ問わず、女性アスリートを狙った「盗撮」問題は続いており、そのような動画を売買するサイトには直近の大会で撮影された動画も存在する。
しかも、近年は従来の性的な目的で撮られた画像や動画、あるいはメディアの「おじさん向けの報道」だけでなく、ただただ競技の様子を撮影した動画までもが性的消費されているという。
このような女性アスリートの性的消費の事例を振り返り、この問題を取り巻く法律やメディアの視点から国内外の情勢について、多角的に考えていきたい。