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第1特集
主題歌はスウィズ・ビーツのプロデュースによる「Nasty Girl」

悪習の歴史を提起する米ドラマ『Queens』の功

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――10月より放送開始となったドラマ『Queens』。ラッパーのイヴやシンガーのブランディが主演を務める、90年代に活躍した〈ナスティ・ビッチーズ〉なるヒップホップグループの再結成にまつわる物語だ。そこでは「今はアリでも当時は無理」だった問題を、シリアスかつコミカルに浮き彫りにする。

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10月から始まった新ドラマ『Queens』。左からナスティ・ビッチーズを演じるナディーン・ベラスケス/ブランディ/イヴ/ナチュリ・ノートンの4人。音楽業界や人種、性差別問題におけるタブーを破りながらも、ユーモアあふれる描写でクスッとさせられる。

ヒップホップ初の商業レコードと言われているシュガーヒル・ギャングによる「Rapper's Delight」がリリースされたのは1979年。以来、ヒップホップは音楽産業におけるマーケットを右肩上がりで拡大していった。現代では、チャートの上位や大型音楽フェスのヘッドライナーの多くはラッパーたちで占められている。特にヒップホップ黄金期と呼ばれた90年代中期を経て、後期にはジェイ・ZやDMXといったラッパーたちが次々とナンバーワンヒットを連発し、ビルボード・チャートはみるみる間にヒップホップ・ミュージックが席巻していった。また、その時代にはクルーザーや美女、ジュエリーに高級シャンパンといったマテリアリスティックなアイテムがヒップホップの象徴にもなっていき、「バブリーでギラギラ」なヒップホップのパブリックイメージもまた、この頃から加速度的に盛り上がっていったのだった。

そんな「ギラギラ」度も最高潮に達した1999年と現代を舞台にしているのが、今年10月から、アメリカのケーブルテレビ局「ABC」で放送が開始されたドラマシリーズ『Queens』だ。本作の最大の魅力は、ブランディ、イヴ、ナチュリ・ノートンという、実際にかつての音楽シーンの最前線で活動していたアーティストらが集っている点だろう。彼女らが演じるのは、99年にシングル「Nasty Girl」が大ヒットを記録した4人組のフィメールラップ・グループ、その名も〈ナスティ・ビッチーズ〉(Nasty Bitches。以下、NB)のメンバーだ。それぞれには、本名とは別に、〈プロフェッサー・セックス〉〈エクスプリシット・リリックス〉〈ジル・ダ・スリル〉〈バター・ピーカン〉といった〝通り名〟が与えられている(ピーカンは女優のナディーン・ベラスケスが好演)。2021年の音楽アワードにて、一夜限りのリユニオンを果たしたことをきっかけに20年ぶりにグループ活動を再開するも、彼女らには乗り越えねばならぬ多くのハードルが──というのが、物語の大筋だ。

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