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第1特集
日本史愛とラップの関係

ラップと日本史の親和性 KOHEI JAPAN、かく語りき

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――自他共に認める日本史フリーク、KOHEI JAPAN。生業はラッパー兼料理人。過去にリリースした作品の宣材写真やアートワークからもわかるように、浮世絵を模したり、和装でしゃれ込んだり。そんなヒップホップ街道を歩む一方で、大山街道への造詣も深く、なによりラッパーとしての懐が深い。「もともと日本史に興味はなかった」と語った彼が、そこに没頭し、楽曲にまでその影響を落とし込むに至った経緯とは――。KOHEI JAPANの歴史を掘り下げる。

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(写真/渡部幸和)

ヒップホップグループ〈MELLOW YELLOW〉のメンバーとして1990年代から活躍し、誇り高きリリシストとして高く評価されているラッパー、KOHEI JAPAN。実兄であるRHYMESTERのMummy-Dと共に、実は日本のヒップホップ界随一の日本史好きとしても知られる彼は、膨大な読書量を武器に、一般的な歴史マニアとは異なる視点で独自の歴史探究を行っている。メディアに登場するのは久しぶりという彼だが(ちなみに現在、10年以上ぶりとなるニューアルバムを制作中)、歴史に関心を抱いた経緯や、オリジナルな歴史のディグを行うようになった流れを追いながら、最終的にはヒップホップと日本史の深い関係性にまで迫ってみたいと思う。

なお、今回は解説役として、KOHEI JAPANのメジャーデビュー時の担当ディレクターである株式会社ポニーキャニオンの村多正俊氏(現・経営本部エリアアライアンス部 部長)にも同席していただいた。実は村多氏はKOHEI JAPAN、Mummy-Dと共に結成した「歴史クラブ」の会長を務める人物で、兄弟MCを日本史の世界に引き込んだ張本人でもある。

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KOHEI JAPANの知識欲を突き動かした作品たち【1】『お~い!竜馬』(86年/小学館) 

――日本史に興味を持ったのは社会人になってからとのことですが、きっかけから教えてください。

KOHEI JAPAN(以下、KOHEI) 30代になってからかな? 今の嫁と付き合っていたときに、彼女の家にマンガの『お~い!竜馬』【1】があったんです。それを読んだら「おもしれーじゃん!」ってなったのがきっかけ。それから兄貴(Mummy-D)が読んでいた『風雲児たち』【2】を借りたりして、そのあたりから村多さんとも親交が深くなって、歴史の話を聞いたり本を借りたりして、まんまとハマっていった感じです。


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【2】『風雲児たち』(79年/リイド社)

――マンガから入るというのは結構王道だったりするんでしょうか?

村多正俊(以下、村多) 本や小説で歴史の知識を得るのは小難しいイメージですが、マンガであればハードルは一気に低くなりますからね。私も入口はマンガで、学級文庫にあった『学研まんが 日本の歴史』(学研)シリーズを読むところから始まったのですが、読者に媚びない描写は子どもだけでなく、大人も興味を抱きやすいと思います。


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【3】『薩摩義士伝』(01年/リイド社)

KOHEI そういう意味では『風雲児たち』も全然媚びてない描写が面白く感じたんだと思う。『お~い!竜馬』は歴史が脚色されているんだけど、『風雲児たち』は史実に忠実なんですよ。ただ、『風雲児たち』は画風がギャグマンガみたいなタッチなので、まずそれに耐えられるかっていうのが最初の壁。かくいう自分も最初は全然ダメだったので。劇画タッチを選ぶなら『薩摩義士伝』【3】。これも日本史にハマった初期に読んだ作品なんだけど、内容はエグいです。

村多 すぐ人が死にますからね。しかも壮絶な死に方で。

KOHEI 作者の平田弘史先生は(ラッパーの)UZIの作品のジャケットを描いてたり、歴史好きからは超リスペクトされてる先生です。『風雲児たち』も題字だけは平田先生が描いてたりします。

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