――テレビやネットニュースなどで死刑囚の名前が匿名やイニシャルになっていたり、またメディアで死刑囚の写真が載ることが少なくなった。さらに、さまざまな媒体が利用しているフォトライブラリーなどでも、死刑囚の写真の取り扱いはほとんどない。一体、何が起きているのか?
『増補版 ドキュメント死刑囚』(筑摩書房)
雑誌やテレビ、ウェブメディアはアフロやGetty Imagesといったフォトライブラリーのストック写真に常日頃からお世話になっている。アカデミー賞授賞式の着飾ったハリウッドセレブや、イギリス王室の写真を現場で撮影する機会がない小誌のような媒体でも、そうした写真を使用できるのは、国内外の通信社や新聞社が撮影した写真を購入できるからだ。
多くのメディアが契約しているフォトライブラリーだが、近頃、そこで有罪確定者や死刑囚の写真が消え始めている。
宮崎勤、宅間守、小林薫、加藤智大、植松聖など重大事件を引き起こし、一時期は毎日のようにニュースで使われていた死刑囚たちの写真がないのだ。
殺人罪などで無期懲役が確定した畠山鈴香や小島一朗なども同様で、思えば近年はテレビで死刑囚の映像が使われることもめっきり減り、ウィキペディアでは死刑囚のほとんどがイニシャル表記で紹介・解説されている。
このように犯罪者たちの実名や写真が、徐々に消されている背景を探った。