――近頃よく耳にするその名前。とことんポップなのに、それでいて超絶クール。緊急事態宣言で遊ベナイズムが続くのであれば、彼女のサウンドで遊ボイズムされてみようか。
(写真/若原瑞昌・D-CORD)
現在、OLとして平日週5日勤務をこなしながらアーティスト活動を続けるASOBOiSM。どこかミステリアスな印象を受ける彼女は、もともと“たなま”という名義でシンガー・ソングライターとして活動していた。「たなま時代は、頭のてっぺんから声を出して『ありがとうございますぅ!』って対応していたんです。ライブが終わると、物販スペースに並び、自分らしくない自分を演じる。そこで無理することもありました。『なんで音楽を売るために、媚びも売らなきゃいけないんだろう』って」と、当時の苦々しい気持ちを明かす。
「かわいくないとウケない。でも、かわいくて歌がうまい子はいっぱいいる。爪痕は残したいけど、どうすればいいかわからない。そこから抜け出したいのに、逆にどんどん埋もれていく自分に焦りを感じていました」
一時は全国流通でCDをリリースするも、結果は芳しくなかった。そんなときに、彼女が出会った表現方法がラップだった。