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大石始のマツリ・フューチャリズム【54】

「復興五輪」はどこに?――スポンサーありきの密な祭り

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――21世紀型盆踊り・マツリの現在をあらゆる角度から紐解く!

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『スポーツの文化史: 古代オリンピックから21世紀まで』(法政大学出版局)

 相変わらず東京オリンピック開催に向けて混乱が続いている。そうした中、3月25日に福島県・双葉郡楢葉町のJヴィレッジを皮切りに聖火リレーがスタート。121日間で47都道府県を回り、7月23日には東京・国立競技場で開催予定の開会式でゴールするスケジュールとなっているが、オリンピックの開催自体がいまだ不透明という状況下で見切り発車した形だ。

 いざ始まってみれば、リレーの最中に聖火が消えるというアクシデントがあったほか、著名人がランナーを務めた際には沿道に多くの人だかりができ、想定以上の密状態を引き起こしてしまう始末。さらにはコンボイと呼ばれるスポンサーの大型トラックが爆音を響かせながらランナーを先導する光景に、多くの地元住民が違和感を口にした。3月26日付の東京新聞にはこんな記事も掲載されている。

「荷台部分の上部分にDJが乗り込み、マイクで叫んできた。『福島のみなさん1年待ちました』『踊って楽しみましょう』。DJはマスクはつけていない。沿道と距離は近く、観覧者に飛沫が落ちてきそうだ(中略)ゆずやEXILEの曲をかけ、こちらはマスクを付けたDJが負けじと声を張り上げる。いくつもの音楽と掛け声が重なり、かなりうるさい」(東京新聞「聖火リレー 大音量、マスクなしでDJ…福島の住民が憤ったスポンサーの『復興五輪』」より引用)

 コンボイの上で声を張り上げているのはDJではなくMCではないか? というツッコミをしたくなるが、それはともかく、確かにこの光景は「復興五輪」を謳う東京オリンピックに似つかわしくないものだろう。日常生活が制限される中で「踊って楽しみましょう!」といきなりコンボイの上から煽られても、そりゃ地元住民も困惑するはずである。

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