――近年、欧米ではポルノ批判が顕著だ。理由はPornhubなどでオンラインポルノを視聴することで、現実でセックスを求めなくなり、さらに実際にセックスをしたところで、ポルノ視聴以上の快楽は得られず、そのことで男性性が弱体化するからだというが、果たして……。
一晩にしてPornhubから、違法アップロードされている日本のAVが消えた。しかし、他のサイトでも違法視聴できてしまうので、この問題は何ら解決しないまま。
2020年12月14日、インターネットに激震が走った。大手ポルノ動画サイトPornhubが、アップロードされていた1000万本以上の動画を一斉に削除したのだ。突然の事態に世界中のポルノ愛好家は阿鼻叫喚し、SNS上はリンク切れになったブックマークを泣く泣く削除する人々の報告であふれた。年間アクセス数420億(2019年調べ、公式発表)を誇る業界最大手の一角が、なぜこのような措置に踏み切ったのか? きっかけは、アメリカの有力紙「New York Times」に名指しの批判記事を掲載されたことであった。
「The Children of Pornhub」と題された当該記事によると、Pornhubは「子どもに対する性的虐待、リベンジポルノ、盗撮、人種差別、性差別、そして暴力的な動画であふれている」とし、性犯罪に加担して金儲けをしていると指摘。批判の矛先は有料サービスの決済に利用されている銀行やクレジットカード会社にも向けられ、これらの企業がPornhubとの提携を解消したことが動画の大量削除へつながったとされている。今後はPornhub以外のウェブサイトでも同様の措置がとられるのでは、と予測する声も多く、無法状態であったネットポルノに、ひとつのパラダイムシフトが起きようとしている。
また、違法動画への対応に加え、欧米では数年前からポルノサイトに対し「男性を劣化させている」「セックスレスを助長している」といった批判の声が強まってきているという。一体どういうことだろうか? また、なぜここにきてポルノに対する風当たりが強くなってきているのか? 専門家の意見を聞きつつ、考察していきたい。