――車は単なる道具ではなく、ステイタスを表すシンボルとしても機能してきた。その中で、男女の恋愛に関するアンケートなどで「軽自動車で迎えに来られるのは恥ずかしい」といった結果がもてはやされてもきたわけだが近年、どうやらその事情に変化が訪れているようだ。
(絵/ぱいせん)
「軽自動車はダサい」
「男性が軽自動車に乗るなんて……」
「男なら大きい車に乗らないと」
かつて男性にとってのステイタスシンボルだった自家用車には、決して移動のための実用品としてだけではなく、年収、生活環境、美学などを表すという役割があった。だからこそ、車がモテるためのアイテムとみなされ、男性たちはより大きな車や高級な車をゲットしようと血眼になっていた。そして生まれたのが、上記のような「男の軽」に対する蔑視だった。
しかし、そんな常識も今や昔。2020年、男性が軽自動車に乗ることに対して忌避感を抱いている人は少数派となりつつある。各メーカーでは「軽自動車はユニセックスな乗り物という前提」(ホンダ広報部)「(軽自動車は)男性向けや女性向けと位置付けず、幅広い観点で広告活動を行なっています」(スズキ広報部)と、男性タレントを起用したユニセックスなCMで性別に関係なく軽自動車を訴求。その結果、日本における全自動車保有台数のうち軽自動車の割合は右肩上がりを描き、36・4%を軽自動車が占めている(20年3月末・全国軽自動車協会連合会)。
今や、CMだけでなく、各メーカーではバラエティに富んだ車種を展開し、男性も乗るようになった軽自動車の多様化するニーズに対応するようになった。いったい、男性と軽自動車の関係はいつ頃から、どのように変わっていったのだろうか? 変わりゆくクルマとオトコの関係を見ていこう。