――男というのは、いつの時代も変わらない。しかし、近年は「オトコのあり方」というものが、社会の変容によって崩壊しつつあり、男たちもそれに順応しようとしてきているが、そもそも「男らしさ」とは一体何なのだろうか?
「強さ」こそが、男が男であるべき時代は終わった。「強い」だけでは、今の時代は生きていけないので、マッチョはバカにされる。(写真/Marco Di Lauro/Getty Images)
男性の生きづらさや、これからの男らしさのあり方に関する特集が増え、世界的に見ても雑誌やウェブメディアなど、各種メディアで「男性学」や「男性論」が注目されている。
「90年代後半とは、男性学のイメージも大きく変わりました」
そう語るのは、男性学が専門で大正大学心理社会学部准教授の田中俊之氏。
「僕が研究を始めた当時、男性学やメンズリブというものは、社会になじめない弱々しい男たちが集っているみたいなイメージが強かった。でも、昨年は太田啓子さんの『これからの男の子たちへ』(大月書店)のような、『男性問題』を正面から扱った本が話題になり、清田隆之さんの『さよなら、俺たち』(スタンド・ブックス)のような、男性が自分の男性性について自省する本も広く読まれる状況に、時代の変化を感じています」
こうした男性学を題材にした書籍に関しては明日公開の記事で詳しく紹介するが、本特集は「男性学のススメ」と題し、宗教やサブカルチャーなどさまざまな視点で「オトコ」を取り上げていく。そして、本稿ではそもそも人々の抱く「男らしさ」とはどのように形成されていくものなのかということに焦点を当て、「男らしさ」が形成されるメカニズムと変遷の歴史を、田中氏に聞いていきたい。