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大阪・関東煮のルーツは中国? 「鍋白書」を毎年発表の紀文食品に聞く“おでん”の知られざる真実

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国民食といってもいいおでん。(写真:Getty Images)

 鍋料理の中でも身近な存在である「おでん」。はんぺんやつみれなどを製造・販売している紀文食品(東京・中央区)では、鍋のPRを目的におでんや鍋の情報をまとめた報道用資料「紀文・鍋白書」を1994年から毎年発表している。38年に創業した同社は、55年にはバラ売りが一般的だったさつま揚や蒲鉾を業界に先駆けてパッケージ化。60年代からチルド物流網を構築して全国規模で流通⋯⋯と、さつま揚やはんぺんなどおでん種と共に歩んできた。それゆえに、おでんの知られざる真実や本当の魅力を把握しているのではないか――。同社グループ統括室広報部長の丸山晶久氏に話を聞いてみた。
(取材・文/安楽由紀子)

おでんはどこで生まれたのか?

 「紀文・鍋白書」では、毎年、全国の主婦を対象にしたインターネット調査(2020年は全国7都道府県の主婦1456人を対象に調査)をもとに、「好きな鍋料理」「好きなおでん種」といったさまざまなランキングや、時流に合わせた特集、料理研究家のアレンジレシピなどを掲載している。

 例えば、和食がユネスコ無形文化遺産の登録を受けてから5年目を迎えた18年には、「『おでん』を通じた和食文化の保護・継承」を特集。リオデジャネイロ五輪が開催された16年には「スポーツ栄養学からみる和食とおでん」を特集した。

「『あなたの好きな鍋料理は何ですか?』という調査では、ここ数年でキムチ鍋がかなり上位に上がってきました。もちろん、おでん、すき焼き、寄せ鍋は鉄壁。そのほか、しゃぶしゃぶ、水炊き、もつ鍋などがよく挙がります。しかし、『あなたが昨年の秋冬に食べた鍋料理は何ですか?』というと、おでんが21年連続で1位。すき焼きも3位以内に必ず入ります。その次に、寄せ鍋やキムチ鍋。今はスープの素の種類が豊富で、いろいろな鍋が簡単に作れるようになってきましたが、やはりおでん、すき焼きはご家庭で作りやすいのでしょう」

 21年連続1位とはもはや国民食といってもいいおでんだが、実は発祥はよくわかっていない。

「庶民の食べ物なので文献が残っておらず、歴史の専門家に伺っても、いつどこから広まったのか正確には辿れていません。もともとの語源は室町時代に流行した、拍子木型に切った豆腐を串に刺して焼いたものに味噌をつけて食べる『田楽』と言われています。その後、江戸期になると田楽の種類も豆腐、ナス、里いも、こんにゃく、魚と増えていきます。一説では野田や銚子で醤油の醸造が盛んになった江戸後期、醤油味で煮こんだ食べ方が生まれたともいわれています」

 大阪ではおでんを「関東煮(かんとだき)」と呼ぶが、この江戸のおでんが大正期に関西に広まった際、味噌だれの田楽と区別して「関東煮」と呼ばれるようになったとされている。だが、1844年(明治17年)に創業した「日本一古いおでん屋」といわれる大阪の〈たこ梅〉では、中国広東省の人が野菜や魚などをごった煮している「広東煮」を見たことがルーツだと説明しており、「関東煮」も語源としてははっきりしていない。

「1887年(明治20年)に創業した東京・東大前のおでん屋『呑喜(のんき)』(2015年閉店)が提供した汁だくのおでんが好評を博し、全国に散らばったともいわれています。しかし、1923年(大正12年)、関東大震災により東京は壊滅状態に。そこで関西の関東煮を作っていた料理人が炊き出しに来てくれて、そのときのおでんが現代も東京で受け継がれ、発展を続けています」

地域差に加えて世代差も広がる

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