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『クロサカタツヤのネオ・ビジネス・マイニング』第80回

【クロサカタツヤ×荒井秀和】日本人はバーチャルが苦手!? 世界中でデジタル化が進むなか「展示会」のバーチャル化は実現する?

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●Webセミナーの視聴経験
(出典)総務省「令和2年版 情報通信白書」掲載
ディスコ キャリタスリサーチ(2020)より

――新型コロナの影響で東京五輪を始めとしてさまざまなイベントが、中止したり延期したりと多くの影響を受けている。なかでも展示会は、もともと東京五輪のために東京ビッグサイトが長期使用不能となっていたところに、さらなる延期によって影響する範囲と期間が広がる見込みで、まさに泣きっ面に蜂。そこで期待が寄せられるのが、インターネット上で展示会を実施するバーチャル展示会。これだけネットが普及した今なら、当然の成り行きかと思いきや、実はいろいろと問題が多そうな気配。

クロサカ 今月のゲストはIT関連のセミナーやイベント、国際会議などの運営会社イーサイドを経営している荒井秀和さんです。新型コロナによって東京五輪の延期を始めとして、さまざまなイベントが大きな影響を受けました。当初は中止となるものが多かったですが、徐々にインターネット上のオンライン開催へ移行するイベントが増えてきました。私も10月に開催された「CEATEC 2020 ONLINE」【1】では、富岳のバーチャル出展をお手伝いしたのですが、やはりリアルのイベントと比べて、いろいろと違いを実感しました。荒井さんにもいろいろな影響があったと思いますが、いつ頃からか覚えていますか。

荒井 2月末に安倍晋三首相(当時)が、小中高校を臨時休校すると言った時から、急に風向きが変わりましたね。その頃から、イベント主催者から「どうしたらいいか」という問合せが増えました。正直に言うと、私も当時は甘く見ていたところがあり、遅くとも夏までには元に戻るだろうと思っていました。

クロサカ 実際には、4月7日に緊急事態宣言が出され、東京ではそこから1カ月半にもわたり外出自粛などが要請される状況が続きましたよね。

荒井 なので、会議や打合せなどをウェブ会議へ移行しました。私はIT畑と付き合ってきたので、ウェブ会議への移行は簡単でした。ただ、リアルに人が集まる会議については決めかねていて、どうしようかと話し始めていました。

クロサカ 毎日発表される新規感染者数とにらめっこしながら、検討していたんですね。

荒井 日本人の大半は、今までバーチャルで仕事をしたことがなかったじゃないですか。だからバーチャルが苦手で、どうしてもリアルでやりたい気持ちが大きくて、世間の目を気にしつつも、最後までリアルでできることを頭に描きながらすすめていた。でも、緊急事態宣言が出ると、もう無理だなと思って切り替えましたね。どの主催者も嫌がるのは(イベント自体の)中止で、要するにキャンセル料とか返金とか、マイナスのインパクトが現れるわけです。そこに、私たちがバーチャルでやれることを提案したのです。Zoomとかいろいろなツールが出てきたので研究して、社員にも慣れてもらい、バーチャルで実現できることを考えて、それを提案して行った。

クロサカ なるほど。それじゃあ、わりとスムーズにリアルからバーチャルへと移行できたんですね。

荒井 それが、やっぱり主催者も、なかなか「Yes」と言ってくれないんですよ。日本は前例主義だから、こんなウェブページを作って、チャット機能を付けて、とバーチャル展示会を提案したけど、イエスかノーか判断されないままズルズルと時間がたってしまって、困ったこともありました。

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