サイゾーpremium  > 特集  > 政治・経済  > 【Z世代マーケティング】のハリボテ感

――ここ数年、若年層マーケティングの中で「Z世代」というワードが躍っている。テレビを見ない、ネットがあるのが当たり前……などといわれるが、果たしてそうなのだろうか? 現役高校生たちに話を聞くと、その言葉がいかに、若者をとらえきれていないかが見えてきた!?

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16歳にして世界の要人相手に、気候変動への危機感を訴えたグレタ・トゥーンベリ。(写真/Getty Images)

 Z世代マーケティングが嘘臭い。ざっくり「90年代後半以降に生まれ」の彼らは今、広告代理店やビジネス系メディアがこぞって商売のネタにしたがる、格好の存在。その説明文句には「デジタルトランスフォーメーション(DX)世代」だの「ソーシャルネイティブ」だのと、バズワード感満載のワードがもっともらしく並んでいる。

 ここに疑問を呈したのが、某広告代理店のマーケター(40代)だ。巷で言われる「Z世代」の定義は本当に正しいのか? 彼らが一様に同じ特徴を持っていると断定してよいものか? そもそも、当の本人たちはその説明に納得しているのか? そんな疑問を晴らすべく司会者にむかえ、Z世代ど真ん中である4人の高校生男女を集めて、とことん聞いてみた。

「大人たちのZ世代マーケティング、合ってる?」

〈座談会参加者〉

Yuutaさん……高校1年生・男子
LUCAさん……高校2年生・男子
SHURIさん……高校3年生・女子
MIIさん……高校3年生・女子

――「Z世代」という言葉を知っていますか?

Yuuta・SHURI・MII 今日初めて聞きました。

LUCA ツイッターか何かで流れてきました。1990年代以降生まれらへんの世代? としか。

――無理もないですね。これは私たちおっさん・おばさん側が勝手につくった用語です。自分たちと若い人たちの感覚があまりにも違う、だけど「最近の若者は~」だと曖昧だから、名前をつけてみたんですよ。定義としては、(1)ソーシャルネイティブでSNSの使い方に長けている。(2)学校や会社よりも個人と個人のつながりを大事にする。(3)お金をじゃんじゃん使うことにあまり価値を見いださない。(4)出世のような上昇志向があまりない。(5)ブランドものよりも自分が好きかどうかで判断する。(6)モノ消費よりもコト消費。(7)社会貢献志向がある。こんな感じです。

LUCA あ、「物心ついた時からSNSを使ってるから、個人情報に関する意識が高い」は聞いたことがありますけど、バカッターは普通に同世代でもいます。全然意識高くないですよ。

MII 「Z世代」というか、ニュースなどでいわれる「最近の若者」が自分に当てはまると感じたことは、あまりないですね。

SHURI 私は大体その通りかも……とは思います。ただ、今の高校生は、そもそも「世代」ってくくり自体を気にしてないです。

――どういうことですか?

SHURI 基本的に、「世代」というワードでものを考えないんですよ。誰かと会話する時も「何年に生まれた人」とか考えません。その人の人間性、その人自身を知りたいので。自分も個人の中身を見てほしいですし。だから、「若い人たちは~」って語られるときも、しっくり来てない人は多いんじゃないですか。

――「Z世代」の定義以前に、世代で区切ろうとしてくるおっさん・おばさんこそが古い、と。

SHURI 年齢が上の方たちは「世代」でくくられてきたんでしょうから、仕方ないとは思いますが。

――私たちを理解しようとしてくれるんだ。優しいね……。

MII 年齢が上の人たちとの比較で言うと、SNSの使い方に関して親とのジェネレーションギャップはすごく感じますね。高1の頃、友達と遊ぶたびにインスタのストーリーに載せてたんですけど、母に「今の子って、こんなことするんだ!」って驚かれて。

Yuuta 僕たちの親世代はインスタよりフェイスブックですから、そもそも「SNSが……」って言った時に指してるものが違う。話が噛み合いません。

――みなさんの親世代だと、ツイッターも初期の頃だけで、今はやめちゃってる人も多いですからね。

高校入学前からSNSで友達ができている

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