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町山智浩の「映画がわかるアメリカがわかる」第151回

『行き止まりの世界に生まれて』行き止まりの世界“ラストベルト”に住む“男らしさ”の被害者

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『行き止まりの世界に生まれて』

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アメリカの繁栄から見捨てられた街・ラストベルト。イリノイ州ロックフォードはクライスラーの工場地帯として栄えたが、業界の衰退とともに米国内最悪ともいわれるラストベルトと化した。その街に生まれ育った3人の少年は、家庭に問題を抱えつつもスケートボードに熱中し、やり場のない怒りや悩みをぶつけていた。やがて彼らは大人になり、現実を突きつけられる……。監督:ビン・リュー、主演:キアー・ジョンソン、ザック・マリガンほか。9月4日公開予定。

『行き止まりの世界に生まれて』はシカゴ郊外のロックフォードという人口15万の街に生まれ育った3人のスケボー少年を描くドキュメンタリーで、2018年のアカデミー賞にノミネートされた傑作だ。

 ひとりはザックという白人少年。いつもジョークばかりでワイルド。次にキアーという黒人少年。スケボーがうまく、明るく人懐こい。そして、中国生まれのビン。やせっぽちで内向的だが、彼らをいつもビデオで撮影している。3人はスケート・パークで出会い、人種を超えた友情で結ばれた。

 大人になり、シカゴでカメラマンとして働き始めたビンは、今まで撮った3人の映像をまとめて1本の映画にするため、ロックフォードに戻り、現実と直面する。

 ザックは屋根大工である父の工務店で働き、結婚して父親になった。息子を溺愛したが、いつしか酒に溺れ、妻を殴り、別居した。手に職のないキアーはレストランの皿洗いをしながらプロスケーターを夢見ていたが、先は見えない。温厚なキアーも時々、爆発して自分のスケボーを踏み割る。

 どうしてこんなに生きづらいのか? 

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