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更科修一郎の「批評なんてやめときな?」【62】

小倉智昭の勇退、久米宏の軽佻浮薄さ……幽霊、ワイドショーへの偏愛を語る。

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――ゼロ年代とジェノサイズの後に残ったのは、不愉快な荒野だった?生きながら葬られた〈元〉批評家が、墓の下から現代文化と批評界隈を覗き込む〈時代観察記〉

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テレビ草創期のオーラルヒストリー。ブラウン管のスターではなく、他ジャンルから集まった裏方の知恵の集大成がテレビだった。

「週刊文春」8月6日号で『とくダネ!』(フジ)の来春終了が報じられた。ここ数年は改編期のたびに終了の噂が報じられていたが、今回はコロナ禍の影響による広告収入減と制作費削減から、司会の小倉智昭が勇退を決意したとされ、話の身も蓋もなさから信憑性はまずまず高いだろう。『モーニングショー』(テレ朝)の玉川や『グッとラック!』(TBS)の志らくにはつくづく閉口しているので、終了は惜しくも思うが、有終の美を飾れる最後のタイミングと見たのかも知れない。世間はようやく老害が消えると思っているのだろうが、視聴率はさておき、リモート出演への技術対応の早さなど、近年の『とくダネ!』は奮闘していた。これはオーディオマニアの小倉が簡易スタジオに使えるリスニングルームを自宅に所有していたからだが、高齢の持病持ちでもあるので、コロナ以前から準備していたのだろう。また、昨年の秋改編ではカズレーザーや古坂大魔王を投入しつつも、芸能情報優先の『スッキリ』(日テレ)との違いを強調するなど、ワイドショーという番組ジャンルに意識的だった。

 司会の小倉は「番外地」時代の東京12チャンネルから成り上がったが故の偽悪趣味が鼻につくこともあったが、『真相報道バンキシャ!』(日テレ)では鼻っ柱の強さから時折ふてくされていた菊川怜や古市憲寿を『とくダネ!』で上手く扱ったあたりから、司会者としてのスタイルが変化してきた。それは「癖の強い若者に理解を示す、性格の悪い老害」というさじ加減の難しい役だったが、「師匠」大橋巨泉のスタイルを現代的にアップデートしている。

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