――セクハラ問題で世間を騒がせた編集者の箕輪厚介氏を、“天才”たらしめたのが、オンラインサロン運営者たちの書籍だ。本が売れない時代にある程度の売り上げが確保され、うまくいけばベストセラーにもなる一方で、中身に関しては具体性に乏しく、扇動されやすい人を煽るだけのものとなっている。
地上波では、ほぼ『ゴッドタン』(テレビ東京)でしか見ないけど。
「何がセクハラだよボケ」「俺は反省してないです。ふざけんなバーカ」
今年5月、セクハラ問題を追及された幻冬舎の編集者・箕輪厚介は、自身の開設するオンラインサロン「箕輪編集室」の会員に向けた動画で罵詈雑言を垂れ流した。これが明るみに出ると世間には大きな失望が広がり、箕輪は「一般常識を欠き、傲慢な人間になっていたことを自覚し、深く反省しております」と慌てて謝罪。テレビ番組の出演を自粛し、NewsPicksBOOK(以下NPB)編集長を退任するとともに、NPBの刊行自体も終了した(別レーベルのNewsPicksパブリッシングは継続)。
ここ数年、芸能人や起業家などが開設するオンラインサロンに対する注目は高まる一方となっている。参加者がタレントとコミュニケーションを取れる従来型の「ファンクラブ」とは異なり、会費を支払った参加者自らが率先して仕事をしたりイベントを企画するオンラインサロンに対しては「信者ビジネス」「搾取ビジネス」といった批判が巻き起こっているものの、加入者は膨れ上がり、その市場規模は30億円にまで拡大した。
そして、それらと深い関係にあるのが、書籍という媒体。本稿では、そんなオンラインサロンと重要な関わりを持つ書籍を「サロン文学」と名付け、オンラインサロンと書籍との関係性を読み解いていこう。