――新型コロナウイルス感染拡大の状況下において、SNSでは毎日ワイドショーの内容が話題に上がっている。情報社会論研究者の西田亮介氏は、自身もワイドショーに出演する立場から「テレビとネットは、お互いのコンテンツが連続的な関係にある。番組のつくられ方を知り、適切に距離を持って観る必要がある」と説く――。
番組名やコメンテーターの玉川徹氏の名が頻繁にツイッタートレンド入りする『羽鳥慎一モーニングショー』。報道内容に対し、政府から名指しで反論もされている。画像は公式HPより。
アニメ映画『天空の城ラピュタ』が『金曜ロードSHOW!』(日本テレビ系)で放送されるたび、劇中の呪文「バルス」がトレンドワードに登場するなど、インターネット……ことツイッターはテレビと仲がいい。それは新型コロナウイルス禍に見舞われている現在においても変わらないのはご存じの通りだろう。毎朝、民放各局のワイドショーの放送時間になると、ツイッターのトレンドにはその番組タイトルやコメンテーターの名前が居並び、それをクリックしてみると番組やコメンテーターに対する賛否両論・毀誉褒貶など視聴者によるさまざまなツイートが羅列される。
こうしたテレビとネットの結託は、情報の流通にどのような影響を及ぼしているのか。メディアと政治の関係に詳しい東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授・西田亮介氏に聞いた。
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――SNSでの反応を見ていると、人々は数ある新型コロナ対策の情報源の中でもワイドショーを重用しているように感じます。テレビの影響力が低下したと言われて久しいですが、この状況を西田さんはどうとらえていますか?
西田 ワイドショーを熱心に観てツイートしている人は、実際にはごく少数だと思います。各局の視聴率から考えるとワイドショーの視聴者数はざっくり数百万人から1000万人程度の規模感といえるはずですが、放送時間帯を考えてみても、たいていの人はそんなに真剣に観てはいないでしょう。
――ツイートまでしているのは、いわばノイジーマイノリティだ、と。