人類とは旅する動物である――あの著名人を生み出したファミリーツリーの紆余曲折、ホモ・サピエンスのクレイジージャーニーを追う!
ドニー・イェン(Donnie Yen)
(絵/濱口健)1963年生まれ、公称身長173cm。細身のイップ・マン役では60キロまで落とし、ヴィン・ディーゼルと共演時は75キロに戻す徹底ぶりで知られる。あ、サモハンの『燃えよデブゴン』をリ・イマジンした『Enter the Fat Dragon』の日本公開は……?
(絵/濱口健)
私はカンフー映画が好きだ。だが昨今、カンフー愛を吐露すると時折、返されるのが「今、カンフー映画なんてあるの!?」という無邪気な暴言。嗚呼、日本人よ。君たちは、ブルース・リー~ジャッキー・チェン~ジェット・リーで止まっているのか?
世界を見よ、坂上忍になるな。絶対的な無知をマウンティングの要素にしてはならないのだ。今、宇宙最強はドニー・イェンなのだから。
「Donnie Yen」として知られる甄子丹。その中文名は広東語でイェン・ヂーダーンと読む(北京語ではヂェン・ズーダン)。ダーン、ダン、Don。というわけで“Donnie”である。
1963年7月27日、中華人民共和国生まれ。2歳のときに香港に移住した……と聞くが、いつも私が不思議に思うのは、その時代の中国で、どういう人がどういう理由で国外に移住できたのか、その仕組みについてだ。なんにせよ、彼の生地は広東省広州市(クリス・ウーと同郷)であり、その後は香港。つまりストレイト・アウタ・カントンなのである。ただ、彼の人生を決定づけたのは、故郷である広東ではなく、11歳のときに移り住んだアメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンだったようだ。