――「恋愛」を学問的に分析するのは難しいと思われるが、社会学ではこれまで恋愛を対象として、さまざまな研究が行われてきた。それらの調査を見ていくと、恋愛と結婚の結びつきは近代の成立以降ということや、今はそれすらも変化し、恋愛がバーチャル化したことがわかる?
コメディアンのアジズ・アンサリが研究者たちと、若者の恋愛事情についてまとめた『当世出会い事情――スマホ時代の恋愛社会学』(亜紀書房)。
恋愛工学や恋愛心理学など、「恋愛+○○(学問の名前)」と銘打たれた書籍に、どことなく胡散臭いイメージを持つ人は少なくないだろう。
しかし、その一方で少子化やジェンダー、家族論・若者論などと結びつくことから、社会学の領域で「恋愛」は、これまでさまざまなアプローチで分析されてきた。
とはいえ、恋愛とはかなり個人的な出来事と思われ、統計や客観性を重視するアカデミズムの分野でどう論じるのか想像が難しく、また、どのような研究方法があるのかという疑問も出てしまう。
そこでこれまで日本の社会学では「恋愛」という現象をどのようなアプローチで分析してきたのか、そして恋愛や結婚はどのように変貌してきたのかを、『結婚の社会学――未婚化・晩婚化はつづくのか』【1】やジャーナリストの白河桃子氏との共著『「婚活」時代』【2】などの著作がある、中央大学文学部教授の山田昌弘氏の話をもとに見ていきたい。