――若い女性がパパと呼ぶ年上男性とデートや食事をして“お小遣い”をもらう「パパ活」。しかし、時に男女が“肉体関係”になることも。この場合、売買春とは何が違う? そんなパパ活を仲介するマッチングアプリは問題ない? 男女トラブルに詳しい弁護士に疑問をぶつけながら、法的観点からパパ活のリスクに迫りたい。
一般的に知られるようになったパパ活。肉体関係があった場合、売買春にはならないのか――。(写真/Getty Images)
近年、女性が収入を得る手段として「パパ活」なる活動が広く認知されつつある。パパ活とは、女性がデートや食事に付き合う対価として、“パパ”である男性から“お小遣い”=金銭を受け取る活動のことだ。ただ、そのデートなどの延長でパパと肉体関係を持つ女性も少なくないといわれる。つまり、金銭の授受が性行為の対価になっているわけだが、これは売春に当たらないのだろうか? 弁護士の若井亮氏は、このように話す。
「結論から言えば、肉体関係を伴うパパ活は売春防止法上、違法になる可能性が高く、場合によっては刑事罰が下され得ます。同法第2条は『売春』を『対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交すること』とし、第3条で『何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない』としています。つまり、女性であれ男性であれ、いずれの当事者となっても第3条に違反することになります」
もっとも、売春防止法第3条の規定はあくまで同法の総則的な規定であり、第3条に違反したことのみをもって刑事処分が下されるとは規定されていない。
「そもそも売春防止法は、主に『売春を助長する行為』を処罰する法律(第1条)。そして、刑事処分が下されるのは主に、公の場にて売春の勧誘をする行為(第5条)と、売春をするように周旋(≒あっせん)する行為(第6条)です」(若井氏)
では、ここでいう「公の場」とは何を意味しているのか?
「路上という可能性もゼロではないと思いますが、現実的にはパパを募集するようなサイト、もしくはSNSなどにおける公開のメッセージが対象になります。逆に言えば、特定の人間とダイレクトメッセージでやり取りする分には『公の場』には当たらないと考えられます」(同)
まとめると、ネット上の人目に触れる場所で肉体関係ありのパパ活を勧誘する行為と、パパ活のために女性をあっせんする行為が、売春防止法上の刑事処分の可能性がある行為となる。ただし、この“肉体関係”が性交か否かで、売春防止法第3条に抵触するか否かも変わってくる。
「性交とは、男性器が女性器に一部でも挿入されることをもって既遂となります。売春防止法第2条では、『性交すること』のみを売春の対象としており、仮にパパ活でオーラルセックスなど性交まで至らない行為のみをした場合には『売春』には当たりません。ただ、結果的に性交をしていなくとも、もともと性交をする目的でパパ活の相手を探していたような場合には、『売春をする目的』で『勧誘』をしたとみなされかねません。明確に性交の可能性を排除していたような場合はともかく、ある程度の性行為に近いものを許容しつつ勧誘やあっせんをした場合には、売春防止法上の刑事処分が下される可能性はゼロではなくなります」(同)