――新型コロナウイルスをめぐっては、国内のどのテレビ局も横並びで、似たような報道が目立つ。他方で「CNNはリベラル寄り」「FOXニュースは保守派」というように、日本以上にテレビ局のスタンスが明確なアメリカのテレビ局の場合、報じ方に違いは出ているのだろうか? 海外情報に詳しいデーブ・スペクター氏に話を聞いた。
ロックダウンされたニューヨークのタイムズスクエアから中継しているニュース番組の撮影クルー。(写真/Getty Images)
――今回の新型コロナウイルス(以下、コロナ)をめぐる日本のワイドショーの状況は、阪神・淡路大震災や東日本大震災のときと比べると、どうでしょうか?
デーブ・スペクター(以下、デーブ) これまでとは、だいぶ雰囲気が違うと思います。というのも、コロナは世界的に流行していて、スケールは大きいですけど、一方、原発事故や津波などのように生活基盤を完全に破壊されるものではありませんからね。編成の部分でも、それほど変化はありません。震災の直後は報道一辺倒になって、バラエティ番組は姿を消しました。今回もロケを減らしたり、総集編でつないだりと、苦労はしていますけど、中断まではしていませんよね。リモート出演などの工夫はありますが、ほとんど通常運転。そういった部分の違いは大きいです。
――感染拡大を防ぐために、収録中止になった番組も多いですが、一方で報道や情報系の番組は続けています。テレビ局では今、どのような感染予防対策が行われているのでしょうか?
デーブ テレビ局の入り口で「“研音”が待ってる」って言われて焦ったけど、“検温”だった……。それはさておき、消毒剤がいっぱいあったり、マスク着用が義務化されたり、いろんなルールはできています。『報道ステーション』(テレビ朝日系)のことがあったから、やっぱり緊張感は増していますね。ただ、もともとテレビ局の衛生状況は、あまりよくないんですよ。ADなんかみんな寝不足だったりしますし。あと、今回のコロナ騒動でモロに影響を受けたのはTOKYO MXでした。理由は単純で、スタジオが狭いから、物理的にソーシャル・ディスタンスが取れない。今は再開してますけど、しばらくの間『5時に夢中!』とか僕も出てる『バラいろダンディ』とか、いくつかの生放送の番組の収録が止まりました。
――それでは、地上波に限らず、ケーブルテレビも発展し、テレビ局が多数あるアメリカでのコロナ報道とは、どういったものでしょうか?