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『クロサカタツヤのネオ・ビジネス・マイニング』第75回

【クロサカタツヤ×山田胡瓜】きっかけはiPhone!? マンガ家が描くAIの危うさと人間らしさの実現可能性

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通信・放送、そしてIT業界で活躍する気鋭のコンサルタントが失われたマス・マーケットを探索し、新しいビジネスプランをご提案!

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●AI導入にあたっての課題
(出展)総務省「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(平成30年)

――僕らが想像する未来は、映画やアニメやマンガからのサンプリングだ。でも、想像の中にあった21世紀が訪れた今、見渡しても想像が現実化したもののほうが少ない。それなのに、フィクションが描いていた未来の社会問題は、確かに目の前に横たわっている。そんな問題のひとつ「AIと倫理」は、いったいどんなふうに僕らの眼前に立ち現れるのだろうか。

クロサカ 今月のゲストはマンガ家の山田胡瓜さんです。ご存じの読者も多いでしょうが『AIの遺電子』(秋田書店)という高度な人工知能が普及した近未来を描いたSF作品で、人工知能学会が主催するAI ELSI賞を受賞されています。私が賞の審査委員を務めたのが縁で、今日の対談となりました。プロフィールを拝見すると、もともとIT系のウェブニュースで記者をされていたんですね。

山田 iPhone登場の2007年に入社し、12年に講談社のアフタヌーン四季大賞を受賞してその少し後まで在籍していました。モバイル関係の記事を担当していたこともあって、スマホが普及していくのを目の当たりにしていました。正直に言うと、最初はスマホに否定的で、ガラケーでポチポチするほうが便利でしょって。

クロサカ 僕も否定派でした。CNET Japanのブログでも「iPhoneは来ない」って書いていましたから。

山田 iPhone以前にいろいろPDAやモバイルデバイスがはやらなかった歴史があって、最初はiPhoneもその中のひとつだと思っていたんです。しかし、CPUとか液晶とか使われている電子部品のロードマップが示す、いろんなタイミングが揃ったところにiPhoneがいたんだと思います。

クロサカ ロードマップという言葉が出てくるのが、プロの視点ですよね。描かれている作品にも、そういう背景があるように感じました。いろんなロードマップを元にして、バックキャスティングで考えている。だから、作品の中では明確に描かれていないことがあっても、読み手は作品の世界観として自然に受け入れられる。

山田 そこまでできているかはわかりませんが、技術のトレンドやどういうふうに社会に浸透していくか、そこにどんな力学があるのかっていうのは、記者をしていると考えざるを得ないですよね。

クロサカ AIのブームだって、急に来たわけじゃなくて、GPUとかクラウドとかの進化が全部揃った結果ですよね。『AIの遺電子』って、そういう背景が揃っている前提で描かれている気がします。

山田 モバイルだと、ロードマップと同時にエコシステムの栄枯盛衰もあって、当時はまさか日本の携帯電話業界が築いたものが、グローバル経済の中で駆逐されるとは思ってもみなかった。そうしたものの見方もiPhoneが教えてくれました。続編の『AIの遺電子 RED QUEEN』(秋田書店)は、そうしたことが人工知能で起きたらどうなってしまうのか、という危機感を意識して描きました。こんなふうに考えるのは、記者だったからっていうのはあります。

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